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実はストラスバーグよりお買い得? ウィーラーが5年128.5億円でフィリーズへ

2019/12/5(木) 16:40配信

THE DIGEST

 メッツからFAになっていた本格派右腕ザック・ウィーラーが5年1億1800万ドル(約128億4800万円)でフィリーズ入団に合意した。今オフのFA投手ではゲリット・コール、スティーブン・ストラスバーグに次ぐ存在と位置付けられていたウィーラーの去就が決まったことで、いよいよマーケットが本格的に動き出しそうな気配を見せている。

【動画】投げては11K、打ってはホームラン! ウィーラーが投打に躍動(19年4月23日)

 今回のウィーラーの契約について、「高すぎる」という声が一部で(編集部内でも)出ている。確かに、当初の予想では5年1億ドル前後と見られていたことを思えば、相場がいくらか上がったことは事実ではある。だが、私は必ずしも「高すぎる」とは思わない。なぜならウィーラーは、さらに高額の契約を手にすることが確実なストラスバーグと比べても遜色ない実力を持っているからだ。

 何をバカな、と思う人もいるかもしれない。ストラスバーグは今季リーグ最多の18勝を挙げ、ポストシーズンでも大活躍してワールドシリーズMVPを獲得。ナショナルズ初の世界一の立役者となった。一方、ウィーラーは11勝、防御率3.96と(一見)平凡な成績でシーズンを終えた。少なくとも印象度では、ウィーラーはストラスバーグの足元にも及ばない。

 だが、ポストシーズンの働きはさておき、打者の援護や救援陣の出来などにも大きく左右される勝利数は、先発投手の真の力量を示す指標としては必ずしも有効ではない。さらに、2018年も含めたここ2年の成績を見れば、ウィーラーとストラスバーグには大きな力量差はないことが分かる。

●ストラスバーグ(2018-19)
投球回 :339.0
防御率 :3.48
FIP   :3:39
奪三振率:10.81
与四球率:2.50

●ウィーラー(2018-19)
投球回 :377.2
防御率 :3.65
FIP   :3:37
奪三振率:8.91
与四球率:2.50

 FIPとは奪三振・与四球・被本塁打の数値から算出した指標で、防御率よりも投手本来の力量を正確に表すとされている。そのFIPを含め、奪三振率以外はどの項目も大きな差がないことが分かるだろう。さらに、スタットキャストの今季データを見ると、打球初速や被ハードヒット率でウィーラーの方がストラスバーグより優れた数字を残している。

 実力以外の要素でもウィーラーに分がある。まず前提条件として、ウィーラー、ストラスバーグいずれもトミー・ジョン手術経験者で、故障のリスクは2人ともかなり高い。ただ、ウィーラーはストラスバーグより2歳若い(ウィーラーは現在29歳、ストラスバーグは31歳)という事実は、獲得球団側にとっては大きなメリットだろう。故障だけでなく、球威低下などのリスクもウィーラーの方が低いことを意味するからだ。

 ストラスバーグの場合、最多勝やワールドシリーズMVPという今季の大活躍によって、実像以上に評価を高めていることは否定できない。もちろん、大舞台の経験が無形の財産になり得ることは否定しない。ただ、『MLBトレード・ルーマーズ』が予測した6年1億8000万ドルの契約をストラスバーグが実際に得るとして(もっと相場が上がる可能性も十分ある)、「大舞台での勝負強さ」にウィーラーとの差額分の価値があるのかと言われると疑問符がつく。

 もちろん、実際に2人が今後どのようなキャリアを送るのかはまだ誰にも分からない。それでも、ウィーラーの新契約は一見そう思えるほど割高ではないこと、少なくともストラスバーグよりリスクが低いことはお分かりいただけたのではないだろうか。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)

最終更新:2019/12/5(木) 16:40
THE DIGEST

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