ここから本文です

AV女優の高スペック化がブスをますます貧乏にする

2019/12/5(木) 19:00配信

BEST TIMES

現実はいつも泥臭くダサくて哀しく矮小で貧乏くさくて意味不明だ。でも大丈夫。馬鹿でもブスでも貧乏でも、きちんと生きていれば、そんな現実を受け入れ愛することができるようになる。疲れたら、ちょっとの間だけファンタジーに逃げ、元気になったら、また現実とおつきあいすればいい。(『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』著/藤森 かよこ より)

この記事の写真はこちら

■ブスで馬鹿で貧乏だと、もっと貧乏になる

 今のあなたは、まだまだ孤独がいやだと思う。ならば、とりあえず、まずは他人から目に見える存在になろう。自分自身を可視化させよう。つまり、あなたのブス度を低下させよう。

 何度も言う。青春期のあなたにとって、青春期が寂しい理由の大きなひとつは、あなたがブスだからだ。外見がすべてということは、特に若い女性に関しては真理過ぎる真理だ。私は偽善的な気休めは書かない。

 若くしてブスで馬鹿でも、生家が貴族とか財閥とか資産家で確実に確実に生涯食いっぱぐれがない場合は、ブスで馬鹿なままでいい。

 しかし、貧乏な庶民でブスで馬鹿だと、さらに貧困になる。

 馬鹿だと生活保護の申請もできない。申請書類は相当にややこしい。一度、大田のりこと河西保夫(かわにしやすお)「監修・大山典宏(おおやまのりひろ)」の『プチ生活保護のススメ』(クラブハウス、二〇〇九年)を読んでみよう。「生活保護法による保護申請書」とか「収入申告書」とか「資産申告書」とか、いろいろ作成しなければならない。

 自分で長年の間に掛け金を払い込んできた年金でさえ、自分で申請しないと給付されないのが日本だ。かつ申請書類は多くややこしい。

 貧乏な庶民でブスで馬鹿な女性は、「女性の最後の仕事」であるセックスワーカーにもなれない。

 中村淳彦(なかむらあつひこ)と鈴木大介(すずきだいすけ)の対談集に、『貧困とセックス』(イースト新書、二〇一六年)がある。この対談集によると、かつては、アダルトビデオ界参入は、若い女性が食べていくための最後の手段のひとつだった。風俗しかり、売春しかり。そこでしっかり稼いで貧困から抜け出す女性も少なくなかった。ところが、最近は事情が激変したらしい。

 長引く不況のせいで、偏差値の高い有名大学の学生や大学院生が、一般的なアルバイトより費用対効果が高いアダルトビデオ界に参入する例が多くなった。

 奨学金(という名の借金)を借りていたら卒業後の返済が厄介だ。完済するのに二〇年間ぐらいかかる。だから、在学中は「女子大学生ブランド」を駆使して、アダルトビデオ界でも風俗産業でも稼ぐ。かつ、学業にも手を抜かず、企業研究や就活にも手を抜かず、卒業したらセックス産業界からサッサと去る。

 おかげでアダルトビデオ界でも風俗業界でも売春業界でも、雇用される女性のスペックが高くなってしまったというわけだ。

 中には、慶応大学や東京大学大学院在籍時代にアダルトビデオに出演した体験を元に修士論文を書き、その論文を元に『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌(じょうぜつ)に自らを語るのか』(青土社、二〇一三年)を出版した女性もいる。鈴木涼美(すずきすずみ)さんだ。

 良家の子女が、学費を稼ぐ必要もないのにAV女優になるのか。そんな時代なのか。

 ともかく、このような女性たちの活躍によって、かつてのような低学歴で貧困で頼れる家族も誰もいない女性たちの最後の職場が収縮してしまった。

 同じことを、前述の鈴木大介氏は『最貧困女子』においても言及している。いまどきの風俗では雇用してくれない低スペック女子は、五千円と引き換えに売春をするしか食べる手段がなくなっているそうだ。

 そこそこのスペックのある女性は、普通の会社勤務をしながら、週に一回のセックスワークをこなし家計補助ができる。そのような実例も、鈴木氏は紹介している。

 低スペック女子にとっての最後の職場が収縮している背景には、アダルトビデオとか風俗とかのセックス産業が前ほど儲からなくなっているという状況がある。この業界自体の衰退と長引く不況による雇用の悪化という状況がある。セックスワーカーに支払う金がないなら、パソコンやタブレットやスマホで性交動画を無料で視聴すればいいのだから。

 警察や当局の取り締まりも厳しくなっている。暴力団間でやりとりする表に出ない九兆円(? )と予想される現金を捕捉(ほそく)して税金をかけたい国税庁(財務省)の意を汲んだ警察の暴力団つぶしのために、暴力団関連の売春業界にまで警察が一層に取締りを強化しているそうだ。

 ともかく、昨今のセックス産業に参入する女性の高スペック化のために、ブス(デブも含む)は、ほんとうに貧困から抜け出せなくなっている。

 若いくせにデブでブスが危ない。若いときにブスでデブであることのリスクは大きい。

 なんとなれば、人生における生活費獲得競争の緒戦(しょせん)は、遅くとも三七歳までで終わるから。それまでに定職に就くなり、自営を軌道に乗せれば、貧困状態には落ちない。

 しかし、若くしてデブでブスは企業には採用され難い。雇用側は、職場において、デブでブスの女の子にウロチョロされたくない。男性労働者の士気(しき)が下がる。

 だから、ブスは専門職に従事できるように勉強するしかない。しかし、あなたは専門職に従事するには頭が悪い。『ブスのマーケティング戦略』の著者の田村麻美さんのように税理士試験に受からない。国家資格なんて無理。

 美人は食ってゆける。馬鹿でも食ってゆける。「ずるい!」と言ってもしかたない。

「まともな男」を捕まえて結婚すれば食ってゆける。まともで騙される男は、いくらでもいる。二〇年後や三〇年後にデブになろうがブスになろうが大丈夫だ。「妻がデブでブスになった」という理由では離婚できない。「夫の足が異常に臭い」という理由では離婚できないのと同じように。

 美人ならば、愛人稼業でも食ってゆける。「後妻業」でも食ってゆける。水商売で成功することもできる。ニッチもサッチもいかなくなったら、セックス産業もある。でも、ブスにはその手も使えなくなった。

文/藤森 かよこ

最終更新:2019/12/5(木) 19:00
BEST TIMES

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事