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「黒革の手帖」を置き捨てて:高級ブランドたちは、デジタル時代の顧客体験を再発明する

2019/12/6(金) 8:51配信

DIGIDAY[日本版]

ラグジュアリーリテールではかつて、もっとも優良な顧客の名前、住所、電話番号を黒革の手帖に書き込んで管理していた。今日では黒革の手帖はiPadとなっているだろう。

高級ブランドやリテーラーにとって、顧客個人個人と関係を築くためのプロセスは常に重要な要素として存在してきた。顧客がコートに1万ドル(約100万円)を費やすようなとき、その顧客にカスタマイズされた特別な体験が期待されている。しかしモバイルチェックアウトやオンラインでのオススメ・スタイルの提案といった、非常に役立つデジタルツールをラグジュアリーブランドはあまり活用できていない。これらのツールを使うことで、今日のリテール業界における優良顧客管理はさらに容易になるだろう。

「モバイルチェックアウト、在庫検索、チャットボット、これらはサービス体験の動力となり、有料顧客管理につながった。これらのサービスをひとつのプラットフォームに統合することが、多くのブランドたちの問題になっている。大手ラグジュアリーブランドたちは非常に動きが遅い」と、アテンティブ(Attentive)のCEOであるブライアン・ロング氏は言う。

モバイル中心に関係構築

すべてのラグジュアリーブランドが変化することに興味を持っているとは限らない。シャネル(Chanel)の場合、野心的なデジタル優良顧客管理ツールどころか、どのような形態のオンラインショッピングにも関わろうとしないことは有名だ。リテール側では、ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)は今年前半、イノベーション開発室を解散させた。開発室ファウンダーのスコット・エモンズ氏によると、これはデジタルに十分な資金が投資されないことが原因だ。

しかし、ラグジュアリー部門に新規参入したブランドたちのなかには挑戦が見られる。グレイクロフト・ベンチャーズ(Greycroft Ventures)とノードストローム(Nordstrom)がリードする形で行われた資金調達ラウンドで1000万ドル(約10.8億円)を集めた11オノレ(11 Honoré)は、このキャッシュの大部分を顧客管理サービスの拡大に注いでいる。11オノレのデジタル販売の大部分が行われているモバイル分野において、この顧客管理サービスは主に披露されるだろうと、CEOのパトリック・ハーニング氏は考えている。

「我々にとってのもっとも大きな優先事項は顧客サービス側を構築することだ。そこにはたくさんの要素が含まれる。技術、在庫管理、スタッフ管理、そしてサービスを成功させるためにチームに力を与えること、などだ。実際に対面して顧客と関わる顧客管理が優先事項だが、実店舗と同様に遠隔からも顧客にサービスを提供できるよう確実にする必要がある。それはショートメッセージもしくは電話経由かもしれない。しかし重要なのは関係性を構築することだ」と、彼はいう。

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最終更新:2019/12/6(金) 8:51
DIGIDAY[日本版]

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