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「空気を読む」メディアと国民の「感情的まなざし」から考える皇室の今

2019/12/6(金) 15:01配信

nippon.com

社会問題に独自の視点で切り込み、皇室を巡る時代の空気やメディア報道の鋭い観察者でもある水無田気流氏に、令和の皇室が置かれた状況と皇室に向けられるメデイア、国民の視線の変化などについて聞いた。

お祭りムードに水を差さない

――5月の「即位後朝見(ちょうけん)の儀」、10月「即位礼正殿の儀」、11月にアイドルグループ「嵐」が登場した「国民祭典」、沿道に11万9000人が集い祝福したパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」、そして「大嘗祭」など、一連の即位関連行事が終わりました。昭和から平成への代替わりと比較して、どんな印象を持ちましたか。

水無田 気流 30年前は「一世一元」の制度に基づく昭和天皇崩御の後の代替わりで、日本全体が喪に服した中で粛々と行われました。この時の「朝見の儀」では、女性皇族は黒いベールで顔を覆い喪服姿でしたが、今回は華やかなドレスが目立ちました。一方で、つえをつかれたり、車いすで参列なさった皇族のお姿も目立ち、全体的に高齢化しているという印象です。

――雅子さまに対する報道や国民の視線も以前と少し変わった気がします。

水無田 雅子さまは、以前は体調不良で公務をこなせるのかと懐疑の目で見られてバッシングを受けていた時期もありました。今はメディアの報道も好意的で穏やかです。ご療養中でご公務を制御なさっているのはあまり変わらないのですが…。SNSの影響など、メディアの形態が変わってきたことが大きいのでしょう。個々の読者が活発に意見を言うことが可能になったため、マスメデイアも信念で突っ走る報道はできなくなり、世間の空気を読むようになったということでしょうか。

――メディアでは天皇制の在り方を問う議論はあまり目立たず、女性皇族のファッションや雅子さまが「国民祭典」とパレードで流した涙が大きく報じられていました。

水無田 昭和天皇が崩御した時の代替わりの際は、戦争責任も含めて天皇制の是非を問うテレビ番組や新聞報道がありました。当時は、戦争を経験した人たちが今よりも多くいたことも大きいでしょう。一方、時代はちょうどバブルに向かう時期で、天皇制を真剣に問い直す背景として、景気は上向きであるという安心感がどこかにありました。ところが今は「失われた20年」から脱しようともがいている状況で、国民の生活も暗くなりつつあり、少子高齢化の影響で年金を含め将来に不安を感じている日本人も多い。刹那的でもいいから、明るい材料がほしいという感情がくすぶっているのではないでしょうか。このため、総じて「お祭りムードに水を差すべきではない」という空気が充満しているということでしょう。

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最終更新:2019/12/6(金) 15:01
nippon.com

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