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「中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」 D・アトキンソン氏

2019/12/6(金) 17:40配信

NIKKEI STYLE

――中小企業改革に加え、最低賃金の引き上げも、政府主導で進めるべきだと主張しています。

働き手が急減する中、膨張を続ける社会保障負担を賄うには、生産性を上げるとともに、働き手一人ひとりの給料を増やしていくしかありません。

社会保障費の1人当たりの負担額を試算してみると、年2000時間働くとして1時間当たり824円(2020年時点)です。これが30年には1137円、50年には1900円にまで跳ね上がります。社会保障システムを破綻させないためには、働き手が負担を賄えるよう、経営者側が負担の増額分を賃金に上乗せしていく必要があります。その意味で、賃上げは日本社会のシステムを維持するという「国益」にかなうものです。

ただ、企業の利益と国益とは必ずしも一致しない。だからこそ、賃上げを企業任せにせずに、国が主導する必要があるのです。

――中小企業改革に加え、最低賃金の引き上げも、政府主導で進めるべきだと主張しています。

働き手が急減する中、膨張を続ける社会保障負担を賄うには、生産性を上げるとともに、働き手一人ひとりの給料を増やしていくしかありません。

社会保障費の1人当たりの負担額を試算してみると、年2000時間働くとして1時間当たり824円(2020年時点)です。これが30年には1137円、50年には1900円にまで跳ね上がります。社会保障システムを破綻させないためには、働き手が負担を賄えるよう、経営者側が負担の増額分を賃金に上乗せしていく必要があります。その意味で、賃上げは日本社会のシステムを維持するという「国益」にかなうものです。

ただ、企業の利益と国益とは必ずしも一致しない。だからこそ、賃上げを企業任せにせずに、国が主導する必要があるのです。

『国運の分岐点』

デービッド・アトキンソン著/講談社/900円(税別)
人材レベルや国際競争力は世界でも高い水準にある一方、生産性は主要先進国で最低の水準にある日本。なぜ日本の生産性は低いままなのか。様々なデータから日本と海外を比較し、その原因を分析してきた著者がたどり着いた結論は「多過ぎる中小企業」だった──。人口減少・高齢化と低成長のまま迎える未来の「最悪のシナリオ」を回避して、変革を進めるために進むべき道を提示する。

デービッド・アトキンソン

1965年、英国生まれ。英オックスフォード大学日本学科卒業。90年に来日。ソロモン・ブラザーズなどを経て92年にゴールドマン・サックスに移りアナリストとして活躍。金融調査室長時代、日本の不良債権問題を指摘したリポートで注目される。パートナーを務めた後、2007年に退社。09年、国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社の取締役に就任。10年に会長、11年から会長兼社長。茶道など日本の伝統文化に親しむ。『新・観光立国論』『日本人の勝算』など著書多数。

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撮影/福知彰子 取材・文/佐藤珠希

[日経マネー2019年12月号の記事を再構成]

NIKKEI STYLE

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最終更新:2019/12/6(金) 17:40
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