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【海外ドラマ】オスカー俳優の演技も魅力の、傑作ミステリー。

2019/12/6(金) 12:41配信

フィガロジャポン

「トゥルー・ディテクティブ 猟奇犯罪捜査」(2019年)

『ムーンライト』と『グリーンブック』で2度のアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ。「トゥルー・ディテクティブ 猟奇犯罪捜査」ではその彼が、アーカンソー州の片田舎で起きた幼い兄妹の失踪事件で大きく人生を狂わされる刑事ウェイン・ヘイズを演じる。

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事件当時の1980年、再捜査が行われた1990年、そして再び事件の記憶を呼び起こされる2015年。この3つの時代をシームレスに行き来する物語において、アリは見事なまでにそれぞれの時代のヘイズを演じ分けている。もちろんそうした役作りは俳優として当然なのだが、アリは数段上の離れ業をやって見せる。事件が彼の人生と人格に与えた影響の大きさを、人生の深い苦悩が刻まれた顔の表情と声色、佇まいなど全身全霊で伝えて圧倒される。

30年以上の時を経て、事件の驚くべき真相を紐解いていくミステリーのパートは、文句なしにおもしろい。作家で本作の企画・脚本を手がけるクリエイターのニック・ピゾラットの洗練された筆致は、いつにも増して冴えている。しかしミステリーの域を超えたところに本作の醍醐味が。それは記憶と時間をめぐる物語でもある点だ。ヘイズは1980年時点でベトナム戦争の後遺症(PTSD)を患っている。どこか陰鬱さが漂う若い頃。そこに事件の記憶が加わることによって、心の奥底に封じ込めていた暗い部分が時折表面に浮上する。そして現在。アルツハイマーの初期段階にあり、すべての記憶は薄れつつある。あれほど忘れたかった記憶をたどらなければならない状況の中で、ヘイズにもたらされるのは時を経たことによる癒やしなのか、それともさらなる深くて暗い闇なのか。静かで淡々としているけれど、ぞわっとするほどの幕切れはいつまでも複雑な余韻を残す。

海外ドラマファンならご存知だろうが「トゥルー・ディテクティブ」は、1シーズンごとにキャストを入れ替え、異なる事件を描くアンソロジーシリーズだ。どのシーズンから見ても問題ないので、シーズン3に相当する本作が気に入ったら、マシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソンが刑事コンビを演じる「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ 」(シーズン1、2014年)もぜひチェックしてみて。アリの名演に目を奪われがちだが、「猟奇犯罪捜査」でもヘイズとコンビを組むウェスト刑事役のスティーヴン・ドーフのさりげない演技はナイスアシストという感じ。マコノヒー&ハレルソン演じる刑事のように、ヘイズ&ウェストの一言では言い表せない関係性もまた作品に深みを与えている。

「トゥルー・ディテクティブ 猟奇犯罪捜査」
原題/True Detective
クリエイター/ニック・ピゾラット
出演/マハーシャラ・アリ、カルメン・イジョゴ、スティーヴン・ドーフ、レイ・フィッシャーほか
「ブルーレイ コンプリート・ボックス」(3枚組)発売中 ¥13,000
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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texte:SACHIE IMA

最終更新:2019/12/6(金) 12:41
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