ここから本文です

世界的コンサル取締役の発言で露呈したビジネス界の「何気ない性差別」

2019/12/6(金) 17:57配信

ニューズウィーク日本版

言葉の節々に滲み出る、その人の本質...

インドでは、花嫁の家族が嫁ぎ先に結納金、高価な自動車や宝石、住居などを贈呈する「ダウリー」という習慣がある。政府は1961年にダウリーを法的に禁止したが、現在もこの風習は根強く残っており、ダウリーの贈り物に不満を持つ花婿の家族が嫁を虐待。最悪の場合は自殺などに追い込むケースも報告されている。

動画:ダウリーとは何か?

2017年の統計によると、ダウリーをめぐり1日平均で21人が死に追い込まれた。1999年から2016年まででは、女性の自殺者の半分以上がダウリー関連とされるほど、インドでは今も大きな社会問題となっている。

ここにきて、このダウリーが全く異なる側面で話題になった。大手会計事務所デロイト傘下のデロイト・デジタルがインドのムンバイで主催したマーケティングの技術と体験に関するセミナーで、同社のジャイ・ブーバ取締役が貴重なデータをダウリーに例える「Treat data as the new dowry」という発言をしたためだ。

ツイートでこの情報が流れると(運営元がブーバ氏の言葉、Treat #date as the new “dowry“を引用した投稿はすでに削除されている)、「家父長制度の亡霊であるダウリーを比喩として用いる必要性はあるのか」などの批判が続出。デロイト・インディアの広報担当者も「言葉の選択を間違った。貴重なデータをダウリーに例えたことは遺憾」と述べ、陳謝する事態に至った。

この背景には、まだ女性差別の風潮がインド社会に浸透している現状があるようだ。

タイヤ大手企業のトップは、「女性がタイヤのパンクを修理することは無理な話」と決めつけ、それを新商品の販促に利用しようと考えていることを明らかにした。

インドではびこる、性差別の問題を意識すらしていない「何気ない性差別」。女性に苦痛を与えているダウリーを安易に比喩として用いてしまう企業幹部の意識が、インド社会のひずみを図らずも広く伝える結果になってしまった。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

最終更新:2019/12/6(金) 17:57
ニューズウィーク日本版

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事