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米中対立の一方で…中露が「関係強化誇示」の実態と真意

2019/12/6(金) 7:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

先行き不透明な米中貿易戦争のさなか、親密ぶりを見せつける中国とロシア。国際社会では同盟関係構築の可能性を指摘する声もある。しかし、関係強化を誇示する一方、二国の間に立ちはだかる「不確実性」があるのも事実だ。中露の関係強化は実質を伴ったものなのか、慎重な見極めが求められる。今回は、表層的な部分からは読み切れない中露関係の実態を考察する。なお、本稿は筆者自身の個人的見解、分析である。

関係強化を誇示する中露も、経済関係は「不均衡」

米中貿易戦争の行方がなお不透明な中、ロシア(露)の動向が重要になる可能性がある。習近平国家主席は2019年6月、露を訪問したが、そのタイミングは結果的に米中貿易協議が不調に終わった5月初と6月末のG20大阪サミットの間となり、両国が関係強化を誇示する様は各国の注目を集めた。

その後、軍事面では中国のミサイル警報システム開発への露の協力が再確認され、その関連で、両国はすでに6000万ドル相当の契約を署名。同盟関係構築もあり得るのではないかとの見方も出てきている。経済面では新華社が中露(ハルビン)経貿指数の発表を開始し、また人民元建露ソブリン債発行計画も再び持ち上がっている。さらに12月には、2014年に合意し建設が進められていた中露東ルート天然ガスパイプライン(シベリア東部→黒竜江省黒河市→上海、当面年間50億㎥、23年全面稼働後は年間380億㎥供給)による中国へのガス供給が開始された。しかし、中露の接近は政治経済両面で大きな不確実性も伴っている。

中国側統計によると、中国の対露輸出は2018年480億ドル(前年比12%増)、輸入591億ドル(同43%増)、総貿易量が1071億ドル(同27%増)と、ようやく1000億ドルの大台を超えた。13年の習訪露以降、両国貿易量を15年1000億ドル、20年2000億ドル規模にまで増加させるとの目標が掲げられてきたが、その後の貿易量は目標ほど伸びてこなかった(図表1)。

19年1~9月の貿易総額は前年比3.7%増で、現在は2000億ドル目標の達成時期を24年に後ろ倒しすることが両国の共通認識になっている。露にとって中国は2010年以降一貫して最大の貿易相手国だが(18年露総貿易の15%が対中)、中国にとって露の比重が大きく高まる傾向は見られず(一貫して輸出シェア2%弱、輸入シェア2~3%で推移)、10番目の貿易相手国にすぎない。

中国がもっぱら露からエネルギーを輸入し、露に消費材や工業製品を輸出するいわゆる片務的貿易構造を是正することも両国の懸案だが、18年対露輸入のうち石油等鉱物燃料やその関連製品の割合は73.5%、木材・木材製品、木炭が6.3%で、これら資源関係だけでなお80%を占める。他方、対露輸出のうち衣類等労働集約型消費財の比重は低下傾向にあるものの、電気機器・ハイテク製品・機械類とその部品、原子炉、ボイラー、医療機器がなお60%を占めている。

また、中国は露の投資環境について以前から、露側の、(1)労働力不足、(2)複雑な市場への中国側の理解不足、(3)法制度や市場の未整備などがネックになっているとしている他、露に進出する中国企業は成果を急ぐあまり、露の法制度や国情、市場について十分な調査をしないため、不必要な損失が発生しているとの指摘がある(18年12月20日付中俄資訊網、および19年3月1日付環球財経に掲載された中国国際問題研究院論考)。

中国の対外投資に占める露の割合は露のクリミア侵攻直後、一時的に2%にまで上昇したが、その後1%を切る水準で推移している(図表2)。香港等を通じる迂回投資の調整をしても2~3%程度のもようだ(米国Heritage Foundation推計)。分野別では、資源採掘、農林牧・漁業関係で投資先の7割近くを占める。他方、露の対中投資は18年5660万ドルと17年比倍増だが、なお中国に流入している外国投資全体の0.04%とほとんど無視し得る規模だ(中国商務部外資統計)。

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最終更新:2019/12/6(金) 7:00
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