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近くにまたマンション…不動産業界に襲いかかる「共食い」状態

2019/12/6(金) 5:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

不動産投資アドバイザーでCFPファイナンシャルプランナーの大林弘道氏の著書、『儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイディア』より一部を抜粋し、投資をはじめとした不動産ビジネスをめぐる課題を解決するための具体的なアイデアを提案していきます。

自社の製品が既存の自社製品のシェアを喰ってしまう…

分譲マンションの流動性を評価するマーケティングで「カニバリズム」という表現がよく使われます。これは共喰いを意味する言葉で、自社の新製品が既存の自社製品のシェアを喰ってしまうだけの結果に終わる…そんな場合に用いられます。

賃貸アパート経営における貸室募集においては、空室期間が長期化するなどの理由で、一部屋の家賃を下げて募集した結果、他の部屋の入居者から賃料下げ要望が来てしまうような場合がカニバリズムに該当するでしょう。

また、サブリース事業にまつわるトラブルでも同じような光景がみられます。「借上げ保証」をセールスしながら、賃貸アパートを開発、販売する会社が、同じエリアで自社開発の物件を続けざまに建設したために、賃貸の需給バランスを自ら崩しているのです。物件オーナーに対して、「借上げ保証」をしていながら、自ら引き起こした賃貸需要の悪化を理由に保証賃料の減額交渉をそのオーナーに対して行うわけなので、当然、揉めることになるのです。

一棟アパートへの投資リスクといえば「分散」についても念頭に置くべきでしょう。居住用不動産の投資においては、その対象として一棟アパートがいいか、分譲マンションがいいかという議論がなされます。そこでは、分譲マンションはお部屋一室なので、退去してしまうと賃料収入がなくなる「オール・オア・ナッシング」だとされるのに対し、一棟物件は、何部屋かあるうちの一室が空いても賃料収入はゼロにならないから、「分散」が働いているとされるのですが、その「分散」は引用が誤っています。

まず投資金額についての前提条件が揃っていないので比較はおかしいでしょう。一棟物件を取得する予算があれば、区分マンションを複数物件取得できるので、空室リスクについては結局同じ話に帰結します。一部屋空室となっても、残りの部屋が稼働するのです。

「分散」を用いるのであれば、区分マンションを複数所有していることによる「エリア分散」が正しい使われ方のはずです。一棟物件は何かのネガティブ事象が発生すると、それが一棟全体に波及してしまうので、むしろ「分散」になっていないのです。カニバリズムの話のように競合物件が近くに建築されてしまうと、すべての住戸が競争にさらされることになります。嫌悪施設の新設、火災や水漏れ、刑事事件など大きい事象が発生するようだと、そのインパクトで一棟物件が全滅してしまいかねません。それこそ「オール・オア・ナッシング」なのです。

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最終更新:2019/12/6(金) 5:00
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