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「企業は試されている」。JALがLGBTチャーター便を飛ばした覚悟とその理由

2019/12/6(金) 8:00配信

Forbes JAPAN

「パートナーとこの先ずっと安心して暮らせるように、家を建てたんだ」

LGBT(セクシュアル・マイノリティ:性的少数派)のある人物が何気なく口にした言葉。それに対し、思わず少し驚いてしまった自分にひどく失望した経験がある。

筆者の中学時代には同性愛者の同級生がいたし、LGBT雇用促進が活発な職場で働いた経験もある。LGBTを理解しているつもりだった。にもかかわらずLGBTの当事者が、自分と同じように日々の生活や将来について考えているという事実に、わずかでも驚いてしまった。

筆者はLGBTを「理解」していた。ただ、同時に「自分ごと」ではなかったのだ。

LGBTに対する世間の関心は高い。虹色の旗を掲げ、天真爛漫に振る舞う姿を目にする機会も増えた。一方で、日々の暮らしの中で彼らを「意識」するかと問われれば、イエスと答える人は少ないだろう。

日本のトランスジェンダー活動家で、東京レインボープライド共同代表理事である杉山文野は、法律的・社会的に割り当てられた性別にとらわれない性のあり方を持つ「トランスジェンダー」の当事者だ。

杉山家の「次女」として生まれ、小・中・高時代を女子校で過ごした。のちに性別適合手術を受ける。現在はデザイナーの女性と暮らしており、性同性愛者(ゲイ)の友人から精子提供を受けて、2018年11月、子どもを授かった。

杉山は語る。「世の中にあるルールやサービスは、LGBTをはじめとしたマイノリティがいない前提で作られています。まるで存在しないかのように扱われる社会に、『透明人間』のような気分になることもありますね」

そんな隠れた「お客さま」、市場にサービスを。日本航空は日本初の試みとなる「JAL LGBT ALLYチャーター」を運航した。

名字が違っても「家族」で搭乗

日本航空は「ダイバーシティ経営」を指針に掲げ、自社内で多様な人財が活躍できるよう、社員知識教育や啓発イベントの参加など、LGBT理解促進活動に取り組んでいるという。

そんな中、日本航空ならではの取り組みとしてチャーター便の運航に挑んだ、と人財本部長の小田卓也は語る。

「私たち航空会社ができることは、飛行機を飛ばすこと。お客さまに乗っていただくことで、LGBTへの理解促進を社会に発信することに決めました」

チャーター便「JL2424(虹にじ)」は、LGBTイベント「ピンクドット沖縄」の開催に合わせ、2019年8月31日に運航した。機内ではオリジナル弁当やグッズが提供されたほか、ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダやシンガーソングライター清貴のパフォーマンスが行われ、乗客は約2時間半のプライド・フライトを楽しんだ。

杉山もパートナーの女性とお子さんとともに搭乗。お子さんにとって初めてのフライトだったが、不安なく参加できたという。

「戸籍上は女子のため、結婚もできない。子どもともパートナーとも、法的な関係性がないんです。今回は、名字が違う上での搭乗手続きも問題なかった。空港着いたらゲートもレインボーだし、副社長がレインボーのアフロを被っているし(笑)トイレには小さなメッセージもあって、JALの本気度を感じられて嬉しかったです」

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最終更新:2019/12/6(金) 8:00
Forbes JAPAN

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