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なぜ令和初の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」はRAV4に決定したのか? 小沢コージが速攻レビュー

2019/12/6(金) 19:45配信

週プレNEWS

年末に"年グルマ"を選ぶ「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。小沢コージが選考委員を務める業界のマツリゴトだが、記念すべき第40回目は、ひっさびさに国産のトヨタRAV4が選ばれた。

ここ2年はボルボXC40、XC60と輸入車の受賞が続いた。まさに異例の事態。今回もBMW3シリーズなどの定番系が強く、開票中は「ええっ? 3シリーズ強いじゃん!」というシーンもあったが、結果は順当! RAV4の得票436点で2位のマツダ3を100点以上突き放す見事な勝利だった。

しかしその実態は想定外だったようで、トヨタ関係者を直撃したら、「なんでこんな差が付いたんでしょうね!?」と漏らしていた。

今年は事実上、トヨタとマツダの一騎打ち。独特の"ジャパネスクビューティ"とも言うべきマツダ3も人気大。なにしろここ数年のマツダは賞レースにやたら強く、2012年からは4年間で3回も受賞。

今回も小沢はマツダ3に10点、RAV4に7点とマツダ推しだったのだ。しかし結果はRAV4に軍配。では、なぜトヨタが勝ったのか?

ひとつはマツダ3にかつてほどの磐石さがなかったことか。2012年のCX‐5、2014年のデミオは定評あるデザインの他に、燃費とパワーに勝るディーゼルがあったが、今回は目玉の希薄燃焼エンジン「スカイアクティブX」の販売がズレ込み、国内販売は12月に......。

また、マツダ関係者に「なぜ獲れなかったんでしょう?」と質問したら、「高かったんですかね?」という言葉が返ってきた。さらにマツダが受注販売に切り替えたこともあって、販売台数はスロースタート。現状マツダ3はよく売れているが、決してロケットスタートではなかった。なんだかんだで、賞レースに際し、販売台数の裏付けっつうのはデカい!

話をRAV4に戻そう。そもそもRAV4はある意味で「出戻り」だ。3年前に一度日本を撤退している。今やニッポンはミニバンと軽ばかりが売れる国となり、中途ハンパなSUVは正直売れない。2016年にコンパクトSUVのC‐HRが良く売れたこともあって、一度日本からいなくなった。

しかし、今回の5代目RAV4があまりに世界で大人気なので、その勢いで「日本でも売ってみるか?」となったのだ。

実際、RAV4の開発責任者の佐伯氏は「こんなに売れるとは思ってませんでした」と正直に言う。しかも、販売再開してからは20~30代のユーザーが多く、日本の新たなSUV市場を掘り起こした。そこも評価されたのだ。

さらに言うと、今回同時に10ベストに選ばれた新型カローラと同じく、RAV4は骨格のプラットフォームから新作。ハイブリッドシステムも一新、デザインも保守的な路線ではなく、チャレンジングなブルドッグ顔を選択。攻めたスタイル、パワーとエコを両立した新世代のパワートレイン、磐石の乗り心地と確かに全方位的によく出来ていたのだ。

細かいことを言うと今回のトヨタはカローラの出来が良く、全体の勢いがあったことも言えるだろう。今や賞レースは商品力だけでは決まらない。直前にリコール問題などが発生すると、クルマは悪くなくともイメージに影響する。実に複雑な「空気感」に支配されてしまうのだ。

さらに言うとRAV4は「いま世界で1番売れる日本車」だ。グローバルで年間80万台以上は、単一ボディとしてはカローラ以上で、特に米国と中国での売れ行きがハンパない。日本人にはあまりピンとこないが、今このサイズのSUVこそが世界の乗用車のど真ん中! いわば、スポーツ界でいうかつてのイチローのような存在なのだ。

そういう意味でRAV4は確かに今年1番の国産車というに相応しいのである。マツダ3も惜しかったけど!

●小沢コージ 1966年生まれ、神奈川県出身。青山学院大学卒業後、本田技研工業に就職。90年、自動車誌の編集者に。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、ボルボ・カー・ジャパン社長の木村隆之氏との共著『最高の顧客が集まるブランド戦略』(幻冬舎)。TBSラジオ『週刊自動車批評小沢コージのCARグルメ』レギュラー出演中。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員


取材・文/小沢コージ 撮影/本田雄士

最終更新:2019/12/23(月) 13:14
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