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インド航空路から“ジャパン・パッシング”を考える

2019/12/7(土) 12:15配信

Wedge

 2019年ももうすぐ終わろうとしているが、この2019年という年は日本とインドの航空業界にとって大きな動きがある年だったと言えるのではないだろうか。

 従来日系航空会社によるインド便は、ANAはデリー便とムンバイ便、JALはデリー便のみであり、あの日本の9倍もある広大な国土に対して日本からの移動は非常に不便だと言われていた。実際、南インドの主要都市であるバンガロール、チェンナイに行くには、一旦デリーに行ってから遅延や欠航が多いインド国内線に乗り換えるか、シンガポールもしくはバンコクでの経由便が一般的であった。そうなると到着が深夜になるケースも多く、それが日本人出張者を悩ませていたのだ。

 しかし今年の夏から、JALが成田からバンガロールへの直行便を、ANAが成田からチェンナイへの直行便をそれぞれスタートし南インドへの移動の利便性が格段に上がった。また、加えて来年春から、従来成田発だったデリー便がANA、JALともに羽田発に変更することも発表されている。羽田発になれば東海地方などから新幹線で品川→羽田と移動し、ウェブチェックインを済ませているのであればそのまま搭乗することも可能であるので、スズキやヤマハなど東海地区に拠点がありインドに進出している日系企業にとっては朗報だと言える。

 一つ目の南インドへのアクセス改善と合わせインドは時間的に非常に「近い」国になりつつあるのだ。実際新しい羽田⇔デリー便での羽田着の時間は両フライトとも朝の6時か7時、デリーを夜に出て機内で寝たらもう朝には東京に着いており、それが幸せなことかどうかはさておき、そのまま本社の始業時間に間に合ってしまうくらいだ。

インド便の増加とその利便性向上の理由

 このような日印感の時間的距離の接近の理由は当然両国間の「往来の増加」である。代表的なのが「観光による人の往来」だ。

 従来は日印間の観光と言えば、ステレオタイプな日本人のインド観光だけが多かったのであるが、日本政府の積極的なインバウンド政策も実り、5年前には7万人を少し超えるだけだった訪日インド観光客も最新の2018年のデータでも軽く15万人を超えておりほぼ倍の数になっているのだ。

 実際私も毎月1回日印を往復しているだが、5年ほど前なら座席はガラガラなので隣の席も自由に使えていたのだがここ2年ほどは毎回満席。そしてその内訳もインド人の家族連れが非常に増えているように感じる。従来インド人の観光旅行と言えば中東やタイがメインだったのだが、豊かな中間層が増え「より変わった国へ旅行したい」というインド人の需要は増え続けており、それが訪日インド人観光客の増加につながっているようだ。

 またビジネスの活性化も往来数の増加につながっている。

 こちらもインドに進出している日本企業の増加に伴い、日本からインドに駐在したり出張したりする動きが活性化している。

 そしてこちらも観光と同様、従来の日本→インドという一方向の流れだけでなく、インド→日本というビジネスマンの動きも活性化している。今日本には大量のインド人がその就業を目的として来日しており、特に多いのがエンジニアだ。

 少子高齢化による新卒の減少のため将来的に不足することが予想される日本国内のエンジニアを補強するため、各企業はエンジニア大国でかつ関係が良好なインドから大量のエンジニアを獲得しようとしている。この動きは外国人労働者を増やそうする日本政府の意向とも合致しているため年々加速している。また 実際これをビジネスチャンスとしてとらえた日本企業が、インド国内に日本への派遣を前提としたエージェント会社を設立する動きも活発化しており、しばらくこの潮流は続きそうである。

 理系の若者が新卒で日本企業に就職したら、同僚の多くがインド人…なんていう世界がもうすぐそこに来ているのだ。

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最終更新:2019/12/7(土) 12:15
Wedge

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