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開封動画でおなじみの大人気YouTuber、プロデュースしたスマホケースに“パクリ”疑惑

2019/12/7(土) 8:27配信

リアルサウンド

 海外のガジェットが好きで、YouTubeでガジェットレビューを検索したことがある方なら、Unbox Therapyという人気のテックレビュー系YouTubeチャンネルをご存じだろうか。

 そのチャンネルがいま、海外で大きな話題となっている。問題となったのはガジェットレビュー動画ではなく、最近発表したオウンブランドのスマホケースだ。

・Unbox Therapyとは?
 「Unbox Therapy」という名前は知らなくても、ヒゲ面に野球帽のパーカーを着て製品を手に持つサムネイル画像に、見覚えのある方は多いだろう。「Unbox Therapyもヒゲ面野球帽も見たことも聞いたことないね」という方のために改めて紹介すると、「Unbox Therapy」は現時点でチャンネル登録者数が1600万人に迫ろうという、人気ガジェットレビューYouTubeチャンネルだ。

 日本でも「開封の儀式」などと言うが、「Unbox」(開封)、「Therapy」(セラピー)というチャンネル名からも判るように、ガジェットのパッケージを開封する様子から撮影してレビューしていくというのが肝で、開封される製品としてはOnePlus 6などの手頃な価格のスマホから、ソニーのペットロボaibo、リアルサウンドテックでも取り上げた高級Wi-FiスピーカーのデビアレPHANTOM、手首装着式の火炎放射器まで、幅広いテック系ガジェットを扱う。  例として1700万回再生されているサムスンの折りたためるスマホ「Samsung Galaxy Fold」をレビューする動画がこちらだ。

・オウンブランドのスマホケースが波紋呼ぶ
 「Unbox Therapy」がここ最近アップロードする動画は、どれもそれぞれ100万回以上再生されていて、一見すると何も問題が無いかのように思われる。だが11月30日にアップロードされたこちらの動画が、大きな波紋を呼んだ。  動画を要約すると、「これまでに自分が欲しいと思えるようなスマホケースは存在しなかった」、「だから超薄くて超軽量でスマホ機能や充電を阻害しないやつを自分で作った」ということ。こうして「Unbox Therapy」はLatercaseというオウンブランドのスマホケースを発表した。0.6mmという極薄ケースで、現行のiPhoneやサムスンGalaxyなど、14種類のスマホ用に展開している。しかし……。

・類似するPITAKA社のスマホケース
 ところ変わって、こちらはPITAKA社の宣伝動画。この動画では同社の様々な製品が紹介されているが、ご注目戴きたいのは時折登場するスマホケース。 これは同社の販売する「MagEZ Case」という製品だ。PITAKA社のスマホケースは日本でも発売されており、人気もある程度あるようなので、もしかしたら既に所持している読者もいるかもしれない。 そんなPITAKA製スマホケースユーザーでもあるRedditユーザー、AnkitJain7氏は、自分の所有するPITAKAのスマホケースと、Latercaseがとても似ていることに気がついた。問題の動画がアップロードされた次の日、AnkitJain7氏は「もしかしたら『Unbox Therapy』はPITAKAのケースを転売しているのか?」という疑問をRedditで投げかけている(参考:https://www.reddit.com/r/mkbhd/comments/e4hbv2/am_i_crazy_or_is_unbox_therapy_just_reselling/)。

 AnkitJain7氏以外にも同じ疑問を抱いた人は少なからずいたようで、「Unbox Therapy」の動画を観たPITAKAケース使用者の中には、その類似性を動画にコメントするものや、PITAKAのソーシャルメディアにコメントするものも見られた。 極薄のカーボンファイバー風パターンのケース……確かにどちらも酷似している。

 とはいえ、実際にLatercaseとPITAKAのケースの詳細を見ていくと違いが見えてくる。例えばiPhone 11 Pro用のケースを比較すると、Latercaseのものは0.6mm厚で重さ11gなのに対し、PITAKAのケースは薄さ0.85mm、重さは14g。これは、PITAKAは独自のマグネットを使った充電ソリューションも売りにしていて、ケースにはメタルプレートが入っており、同社製のマグネティックマウントや充電ステーションに磁力で貼り付けることができるためだ。 このような違いはあれど、二つのケースがよく似ているのは事実だ。

・公式謝罪を求めるPITAKA
 これに対し、PITAKAは11月30日、Twitterで「Unbox Therapy」に対して訴訟を起こす可能性を示唆。Instagramアカウントでは12月1日に、「誰かが弊社のケースデザインをコピーしているとのフィードバックが多く寄せられている」とこの件に関してコメント。同時に「弊社のケースが生まれて以来、何度か経験している」ことであるし、「ただのシンプルなケースではなく、マグネティックエコシステムも包括する」とケース形状は真似されても、同社のケースにはそれ以上に独自性があるともアピールしている。

 「Unbox Therapy」では、問題の動画以降新たな動画が公開されていないものの、同チャンネルのフロントマンでプロデューサーのLewis Hilsenteger氏(野球帽にヒゲ面の人)の別YouTubeチャンネルであるLew Laterでは、12月2日に動画を公開。PITAKAを名指しこそしていないものの、この問題に対する彼からの回答とも言える動画となっている。  動画では、オウンブランドLatercaseを作るに至った理由から始まり、7ヶ月前からプロジェクトを行っていること、手触りや脱着感覚に拘り幾度にも渡るプロトタイプリビジョンの結果到達した結果であるとしており、一部のコメントで指摘されるようなコピーでも無ければ、デザインを丸投げした安易で安価なドロップシッピングではないとしている。

 それから間もない12月3日、PITAKAは同社のブログでこの件に関する公式声明を発表している。声明の中で同社は、5年前から既にこのようなケースを作っているとして様々な証拠を提示しているほか、すでに「Unbox Therapy」を含め有名YouTuberたちに製品を送っていることなどを示している。 PITAKAは声明の終わりに、「Unbox Therapy」から公式な謝罪を求めると共に、Latercaseが今後も販売されるのであれば何らかの変更が加えられるべきだろうとしている。

・人気YouTuberがリスクを犯し、コピー品を販売するか?
 他の有名YouTuberたちも8~9月頃から、現行のPITAKA社のスマホケースをレビューしているようであるが、PITAKAが声明で言及するYouTuberたちと比べ、「Unbox Therapy」の方が知名度が高く、「Unbox Therapy」が(他のYouTuberの動画を通じて)PITAKAのケースを認知していない可能性があることも頭に留めておくべきだろう。加えて、「Unbox Therapy」にPITAKAの送ったケースが到着したのは今年11月27日とされているので、PITAKA社が送ったものを元に真似したという説明は不可能だ。

 それと同時に「Unbox Therapy」がPITAKAのケースを以前から知っていたという可能性も当然ながら否定できない。さらには、PITAKA自身がこれまでにもコピー製品が存在したことや、「サプライヤーが横流し」(leakage from our suppliers)していたことがあると言っているように、PITAKA製のものではない類似ケースを目にして似たものを作ったことも考えられる。

 だが、果たして「Unbox Therapy」はPITAKAのケースを真似しようとしたのだろうか。筆者としては、「Unbox Therapy」が意図的にPITAKAのケースをコピーしたという説に関しては、現時点でさらなる証拠がない限りは怪しむべきだと考える。

 ケースが酷似している点は紛れもない事実だが、カーボンファイバー的なパターンが人気であることは、スマホケースのみならず腕時計、ヘッドホン、マルチツールなど様々なジャンルの製品にまで多用されていることからもわかる。そしてイチからミニマリスティックなスマホケースを作ろうとしたとして、開口部やスマホレンズ部を守る突起部の形が似てくるのは必然的だ。

 また、Lew Laterでの説明が事実であれば、PITAKAとはケース作りのコンセプトからしてミニマルであるという点以外は大きく異なり、実際のLatercaseとPITAKAのケースは細部、手触り、つけ心地などは大きく異なるはずだ。

 炎上することを期待して類似するデザインが存在することを知りながら意図的に意匠を変えずに販売した可能性はあるかもしれないが、そもそも一日1.38万ドル(Naibuzz見積もりによる。記事執筆時レートで約150万円)も稼ぐような有名YouTubeチャンネルが、わざわざ非難や訴訟を起こされるリスクを犯してコピー品を販売するだろうか。

 今後この件がどう発展するかは気になるところであるが、いずれにせよこの件はLatercaseにもPITAKAにとっても良い宣伝になったことだけは確かだろう。

Yu Ando

最終更新:2019/12/7(土) 8:27
リアルサウンド

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