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マーティン・スコセッシ、ボブ・ディランと20年振りの会話を明かす

2019/12/7(土) 11:30配信

Rolling Stone Japan

マーティン・スコセッシは2005年以降、ボブ・ディランをテーマにした2本のドキュメンタリー映画を製作している。しかしスコセッシがディランと話をしたのは20年振りのことだという。新作映画『ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』には当初、俳優を一切使わなかったことも明かした。

写真:秘蔵写真で振り返る、1975年のボブ・ディラン

2019年前半にNetflixで公開されたドキュメンタリー映画『ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説(原題:Rolling Thunder Revue: A Bob Dylan Story)』には1975年のツアーの実写映像に加え、シャロン・ストーンら俳優を出演させ、まるで当時その場にいたのような演出が為されている。多くの視聴者はその理由が理解できなかっただろう。映画監督マーティン・スコセッシは英国映画協会との最新インタヴューで、この件についてついに沈黙を破った。当初は俳優の出演など計画になかったのだという。

「ローリング・サンダーをひと通り仕上げた後で、(編集の)デヴィッド・テデスキと2人でチェックした。そこで私は“何だか古臭いな”と思ったんだ」とスコセッシは振り返る。「バンドがツアーに出て歌を歌っているだけのつまらない映像だったし、最初から作り直さねばならないと思った。音楽だけでなく、コメディア・デラルテ(古典即興喜劇)的な要素を取り込む必要があると考えたんだ。そこで、実際には存在しない人々をそこに付け加えたのさ(笑)。面白かったし、やりがいのある作業だった。それで行けると思ったよ。」

スコセッシはシャロン・ストーンを、ディランのツアーに同行する大学生位のガールフレンドに仕立て、2人のツーショット写真もでっち上げた。さらに、マーティン・フォン・ハッセルバーグ(架空のドキュメンタリー映画監督スティーヴン・フォン・ドープ)や、マイケル・マーフィー(ミシガン州のジャック・タナー議員役)のほか、パラマウント・ピクチャーズのCEO(コンサート・プロモーター役)までも出演させた。

スコセッシは言う。「シャロン・ストーンが何かを演じるのなら、ビジネスマンやマーケティング担当の役も作ったらどうだろうか。それから映画監督役は…と、止まらなかった。それから(パラマウントCEOの)ジム・ジアノプロス。彼を利用しない手はない(笑)。彼のところには多くの俳優がいるが、彼自身も演じてみたいんだ。我々のようにね。我々はただ、お気に入りの音楽と演奏者を撮影して編集するだけ。我々自身もその世界に入りたいんだ。そうなると、次から次へと欲が出てくる。」

スコセッシはさらに、型にはまらないユニークな手法を映画『アイリッシュマン(原題:The Irishman)』にも採り入れたことを明かした。「いくつかの映画で私は、ストーリー仕立ての手法を使った。プロットと呼ぶこともあるが、それよりずっとストーリー性が強い。私はどうにかして昔ながらのやり方から抜け出したかった。ストーリーを通常とは違った方法で語らせたかったんだ。そこで私は、ドキュメンタリー形式ならそれが実現できることに気づいた。」

映画『ローリング・サンダー・レヴュー マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』は、同じくスコセッシ監督のドキュメンタリー映画『ノー・ディレクション・ホーム(原題:No Direction Home)』(2005年)の続編だ。同作品は、ディランの少年時代から1966年のオートバイ事故までを描いている。ディランの膨大な映像資料から2本の映画を作り上げたスコセッシだが、ディラン本人と直接話をしたのは遠い昔のことだという。

「ディランと最後に会ったのは20年前のことで、アルマーニの盛大なパーティーの席だった。実はディランとは、ロビー・ロバートソンと一緒に何度か会ったことがあるだけだ」

Translated by Smokva Tokyo

ANDY GREENE

最終更新:2019/12/7(土) 11:30
Rolling Stone Japan

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