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<いだてん>松重豊、念願の宮藤官九郎作品は「非常にやりやすかったですし、痛快でした」

2019/12/7(土) 12:30配信

ザテレビジョン

中村勘九郎と阿部サダヲがダブル主演を務める大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。

【写真を見る】松重豊演じる東龍太郎は都知事として東京五輪開催に奔走する

宮藤官九郎が脚本を手掛けた日本のスポーツの歴史物語で、日本で初めてオリンピックに参加した金栗四三(勘九郎)と日本にオリンピックを招致した田畑政治(阿部)が奮闘する姿を描く。

そんな同作で、1964年に開催された東京オリンピック時に東京都知事を務めた東龍太郎を演じるのが松重豊だ。

東京オリンピックの開催が決まるや“東京大改造”と銘打って首都高速道路をはじめとするインフラ整備にまい進し、“オリンピック知事”と呼ばれた東。

東を演じた松重に、宮藤作品の魅力や撮影期間中のエピソードなどを聞いた。

■ 宮藤官九郎脚本は「水のように体が吸収する感じ」

――宮藤さんの作品へ出演は念願だったとのことですが、実際に出演してみて感じた宮藤さんの脚本の印象を教えてください。

「せりふが覚えやすい」ということではないでしょうか。

「いだてん―」にはびっくりするくらいミュージシャンの方がたくさん出ているんですよ。出演者だけで2時間の歌番組ができるんじゃない? というくらい!

宮藤さんは歌詞を書かれたりもするし、日本語の持つリズムをすごく意識されている作家さんだなと感じました。昔、山田太一さんのドラマに出演したのですが、その時も言葉ではなく“しゃべり言葉”として音の情報が乗せられている台本だったので、せりふがとても覚えやすかったんです。

宮藤さんのせりふは本当に水のように体が吸収する感じでした。

■ 「いだてん―」はヒューマンドラマ

――今回、主人公が田畑政治ですが、東龍太郎を演じる松重さんから見た田畑の印象はいかがですか?

この作品は歴史に基づいた大河ドラマなので史実というものがありますよね。特に「いだてん―」は時代も近い作品だから、関係者の話が残っていることも多い。

でもある程度、宮藤さんの中でのフィクションであり、ドラマであるということも理解しています。

僕の演じる東さんは “東京都知事”という具体的で誰もがイメージできる役職についている人。

かたや、まーちゃん(阿部演じる田畑)は日本体育協会の理事なわけでもオリンピック招致委員会で役職についているわけでもない。そんな実態のわからない人にも関わらず、どうやらオリンピックを影で操っていたという“黒幕”的な役ですよね。

でも作品としては日本でオリンピックをやろうと思った人たちのヒューマンドラマになっています。

田畑政治は稀代のカリスマでありながら、インチキでもある、ギリギリの感じがしますよね。発言もとんでもないですし、現代に生きていたらおそらく潰されていたであろう人。

でも東さんは完全に同志として結びついていて、まーちゃんの熱意にうたれて都知事になる覚悟を決めました。

人と人の結びつきという点では、リアリティーを持って見ることができる作品なんじゃないかなと思いながら演じていました。

――史実に沿いながらも、宮藤さんの手によってさらに面白い人間ドラマとして描かれているということでしょうか。

そうですね。

田畑政治という人は実際にも周囲の人が何を言っているのか分からないほど早口だったそうですが、それをテレビでやるのは大変なことですよね。

でも阿部くんはそれを完全に踏襲してやっているし、周囲の人はまーちゃんの持つ熱量に乗せられて、登場人物たちもみんな動かされていく…。

オリンピック開催が近くなると、登場人物みんなかなり年齢が高いんですよ。60代、70代になっているのですが、そういう人たちがつばを飛ばしながら熱く言い争っているというのが“宮藤メソッド”と言いますか、宮藤官九郎の言葉によって役が僕らに乗り移ってくる感じがあって、非常にやりやすかったですし、痛快でしたね。

■ 「どっぷり“視聴者”になっちゃいますよね」

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

しばらく撮影がなく、後半戦からの出演だったので放送もどんどん進んでいって…。出演するまでにどっぷり“視聴者”になっちゃいますよね。

視聴者になるって良くないなって思うんです。

物語にすごく感情移入もしちゃうし、例えば役所広司さんじゃなくて嘉納治五郎にしか見えなくなるんですよね。普段の役所さんを知っているのに嘉納治五郎にしか見えなくて、どう言葉をかけていいか分からなくなっちゃう(笑)。あんまりあっちゃいけないことだと思うんですが、「ああ、嘉納さんだ」って緊張するんです。

本格的な撮影に入るまでの期間が本当に長かったし、撮影していても放送ではまだ自分の出番じゃないところが放送されているので、全然実感がないんですよね。この時差をどう考えればいいんだろうって…(笑)。

映画とかはもちろん先に公開する作品だと分かってやっていますが、リアルタイムで追いかけてるはずなのに、時差を感じながらやらなきゃいけないというのはあまりないですよね。

僕らは夏が撮影のピークだったのですが、それも本当にあっという間。考えてみると頑張っていたのは1年の間で1カ月分くらいかな(笑)。人によっては「月1で頑張ってました!」みたいな人もいらっしゃるし。それほどこの作品では色んな人に焦点が当たっていって、そこが見ていて楽しいんじゃないかなと。

長距離と短距離の人が居て、それぞれの楽しみ方が違うなと感じました。

――視聴者になっている時間はどの役に感情移入することが多かったのでしょうか?

僕は元柔道部、一応講道館初段を持っているんです。

講道館の免状を持っている人間からすれば、嘉納治五郎という今まで歴史が取り上げてこなかった人物が、今ではもう役所広司さん以外の何者でもないっていうね(笑)。

今はもう教科書の嘉納治五郎を見ても「細いな、線が」って(笑)。「もっとごついだろうあの人は」って言いたくなるくらいにもう役所さんのイメージになっちゃっていますよね。

この物語には2人の主人公が居ますが、この物語を見守っている、骨格の要のような感じがするなと見ていて思っていました。

■ 「大河ドラマなりのお芝居をしたい」

――これまでにも大河ドラマのご出演経験はありますが、今回は扱っている時代が近代ということで、これまでと何か違う点はありましたか?

大河っていうと入り時間が早くて、かつらをつけた後に衣装を着て、「今日は鎧をつけるか、あ、兜もあるんだ」みたいな肉体的な負荷をある程度背負って、扮装をして歴史上の人物になるという感じでしたが、今回はそれがないですよね。特に今回は後半、僕は白髪のまま出演していましたし…。

また、宮藤さんの脚本がホームドラマ的なところがあるので、会話のテンポもあれば当然笑いもあるし。

脚本をもらった段階で声を上げて笑うというのは今までの大河ドラマにはないことだったので、そういう意味ではすごく肩の力を抜いて楽しめた大河ドラマでした。

でもそれでは「何が大河ドラマなんだろう」って。

出演する側としては朝ドラ(連続テレビ小説)とも違うし、土曜ドラマとも違うし、やっぱり歴史のある景色をずっと見せてくれるのが大河ドラマだなと。

それが関ヶ原なのか、明治維新なのか、ということになると思うのですが、僕らは何を背負っているのか、というとやはり戦争だなと思います。第二次世界大戦を経て、そこにはオリンピックがあって、そして無くなって。そこから十数年経って開催する。本当に今に繋がっていますよね。

歴史というのは現代に繋がっている、今自分のいるところというのを意識して、大河ドラマなりのお芝居をしたいなということは演じる上で心掛けていました。

(ザテレビジョン)

最終更新:2019/12/7(土) 12:30
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