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弾劾裁判は逆にトランプ大統領に追い風になる

2019/12/7(土) 9:00配信

東洋経済オンライン

 12月5日、ナンシー・ペロシ下院議長は下院司法委員会に対し、ドナルド・トランプ大統領に対する弾劾訴追状を作成するように正式に指示した。いよいよ決戦の時や来たれり。アメリカの歴史上3度目となる大統領弾劾が、これから始まろうとしている。

■気色ばむペロシ下院議長、トランプ大統領は余裕綽々? 

 その日の記者会見で、ペロシさんはめずらしく気色ばんでみせた。会場を去りかけたところを、記者から「大統領が嫌いなんですか?」(Do you hate the President? )と声をかけられた瞬間だ。

 きっ、となったペロシさん、立ち止まって質問した記者をにらんだ。そしてまくしたてた。

 「カトリック信者として、”hate”などという言葉を使われることは心外です。私は誰も憎んだりはしません。愛の心に包まれて育てられましたし、いつだって大統領に対して祈っています。今でも大統領に対して祈っています。――そんな言葉で勘違いしないでほしい!」

 もっともその直後、トランプ大統領はこんなツィートを発している。

「ナンシー・ペロシは癇に障ったようだな。彼女は新しい(保守派の)判事が大勢誕生するのが気に入らないんだろう。株価や雇用情勢が記録的になることもね。『大統領のために祈っている』というけど、俺は信じないね。自分の選挙区のホームレスの心配でもしたらどうなんだ。それからUSMCAのこともね」。

 あいかわらずの憎まれ口である。ちなみにペロシさんはサンフランシスコ市が選挙区だが、地価高騰によるホームレスの増加が問題となっている。それからUSMCA(米墨加協定=新しいNAFTA協定)は下院での批准作業が停滞している。

 もっともこの日のトランプさんは、いつもチェックしているラスムッセン社の世論調査で、久々に「支持率52%」という高い数字が出たので嬉々としてリツィートしている。「弾劾訴追、来るなら来てみろ」という感じである。

 むしろ気になるのは、大統領に挑戦状を叩きつけた民主党側だ。弾劾制度とは、アメリカ政治においては非常に重い制度である。成立すれば、現役の大統領を罷免することができる。ただし弾劾が成立したことは過去に一度もない。今から21年前、ビル・クリントン大統領が「モニカ・ルインスキー事件」で弾劾訴追を受けた時は、「議会共和党はやり過ぎだ」と国民の顰蹙を買い、中間選挙ではかえって議席を減らしている。議会にとっては「伝家の宝刀」。とはいえ、抜けばタダでは済まない仕組みなのだ。

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最終更新:2019/12/7(土) 9:00
東洋経済オンライン

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