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日本の“プロラグビー”はどうすれば成功するか スーパーラグビーを見習うべき理由

2019/12/8(日) 10:33配信

THE ANSWER

高まるプロ化の機運、ラグビー取材歴20年の吉田宏記者が課題と可能性を考察 後編

 前回は、国内ラグビーのプロ化への課題を中心に書き進めたが、後編では日本のプロリーグの“あるべき姿”を考えていきたい。

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 ラグビーのプロ化を進めるためには、現在チームを保有する企業への影響も慎重に考える必要がある。

 プロ化を推進する日本ラグビー協会の清宮克幸副会長によると、プロリーグと同時進行で現行のトップリーグ(TL)も、アマチュアリーグとして存続するという。一部の推進派のチームがプロ化する一方で、企業スポーツの継続を求めるチームは“現状維持”で社会人リーグを継続するというフォーマットになるという。簡単にいえばプロリーグとTLが共存することになる。

 だが、この筋書きだけでは、まさに絵に描いた餅だろう。プロリーグが始まれば、収益を得ることが従来以上に重視され、協会サイドも率先してプロのメディア露出に力を注ぐのは間違いない。選手強化、つまり代表チームの選手選考でも、同じようにプロチームが中心になるだろう。つまり、プロ化を拒めば現状維持ではなく“マイナーリーグ降格”という憂き目にあう危険性は極めて大きいのだ。

 もし、この悪魔のシナリオが実際に起きてしまえば、広告効果などの利益も生まないラグビー部に驚くほどの資金を投入してきた企業のチーム運営方針が変わらないという保証はない。

 一部のTL関係者は、現在提示されているプロ化構想の不明瞭さに不安を感じている。例えば、外国人選手の出場規約だが、現行ルールと同じ3人なのか、15人が全員外国人でもいいのかは、現時点で明示されていないという。2年後の“開幕”を目指すのであれば、何人の外国人選手を獲得する必要があるかの検討は、いまの時点で着手するべき案件になる。当然、日本人選手の採用、契約にも大きな影響のある問題だ。

“SRスタイル”なら社会人リーグのプロ化も可能?

 ホームタウン制導入の可否も、より具体的な方向性を示す必要がある。ワールドカップを開催した12地域(スタジアム)にプロチームを置くアイデアもある。例えば熊谷ラグビー場の拠点化を進めるパナソニックなら、プロリーグでの熊谷の“ホーム化”は既定路線でもある。しかし、多くのTLチームが拠点を置く東京ではホームスタジアムを各チームが共有することになるのか、各チームが本拠地を探さなけばならないかも、いまだに協会は明確には示していないという。

 日本協会理事会や、協会首脳陣が話し合いを重ねる中で、プロ化へのカレンダーも足踏み状態に陥っている。清宮副会長は7月の段階では「ワールドカップが終わるまでに、完璧な結論を出さないといけないと思っている」というロードマップを示していたが、11月の段階では、いまだに理事会での設立準備委員会の承認に留まっている。ワールドカップの機運にも乗じたい同副会長にとっては忸怩たる思いもあるだろう。

 では、企業が母体となっている社会人リーグのプロ化は不可能なのだろうか。もしくは発足までに相当の時間を要するのだろうか。1つ可能性を秘めるのは、スーパーラグビー(SR)スタイルのプロ化だろう。もちろん、これも1つの叩き台のようなもので、日本協会内、参画チーム間で揉んでいく必要はある。

 ではSRスタイルとは、どのようなものか。

 まずSRチームの運営形態を簡単に説明すると、ニュージーランド、南アフリカなど参画5か国にリーグ戦期間限定のプロチームを設け、各チームが、その母体となる地域代表(州代表)や、地域とは関係なく世界中から選手を集めて公式戦を戦うのが基本だ。

 これを日本国内に当てはめると、新設されるプロチームがTLやその下部リーグの選手と、出向契約のような形態で期間限定でプロ契約を結びチームを編成して、新リーグを戦うことになる。シーズンが終われば、選手は個々の所属チームに戻りプレーすることになる。

 所属チームとプロチームともにプロ契約する選手もいれば、所属チームではサラリーマン選手として業務とラグビーを両立させて、プロリーグ期間は“出向”してラグビーに専念する選手もいるだろう。代表に選ばれた場合は、さらに出向期間が延びるなど拘束期間の問題があるため、社会人リーグ、プロリーグ、代表での活動の時間配分を精査する必要があるだろう。今季のTLように、従来8、9月~翌年1月だった公式戦期間を真逆の1~5月に変更できたことを考えれば、社会人リーグの日程変更には柔軟性があると考えられる。

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最終更新:2019/12/8(日) 10:33
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