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税務署に情報が筒抜けに…「相続時精算課税」贈与の注意点

2019/12/9(月) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

将来の相続税を考慮し、節税に繋がる「生前贈与」の活用が広く知られるようになりました。しかし、やり方を間違えれば、贈与が認められず結果的に多く税金を払うというケースにもなりかねません。本記事では、相続・事業承継を専門とする税理士法人ブライト相続の天満亮税理士、竹下祐史税理士が、相続税と贈与税について説明します。

「相続時精算課税」贈与は相続税の節税には向かない⁉

前回取り上げた「暦年課税」の贈与は、長期的に、複数の方々に贈与を行うことで、相続税の節税効果が見込める、という特徴がありました(関連記事『 相続税対策としての「暦年課税贈与」…結果的に損得どちらか? 』参照)。

それに対して、制度の趣旨から効果まで全く異なるタイプの贈与が、2003年(平成15年)に登場しました。

それが、「相続時精算課税」の贈与です。

「暦年課税」贈与のような、非課税の枠が年間110万円というチマチマした金額(?)の話ではなく、なんと2,500万円(!)まで贈与税がかからないという、画期的な贈与の制度です。

もちろん、良いことばかりではありませんので、「暦年課税」贈与との違いに着目していきながら、その特徴を見ていきましょう。

相続時精算課税贈与とは、一定の要件を満たす生前贈与に、2,500万円までの特別控除を認める制度です。2,500万円を超えた部分については、一律で20%の贈与税がかかります。

一方の「暦年課税」贈与は、その名の通り暦年(毎年1月1日~12月31日)ごとに110万円ずつの非課税の枠がありますが、「相続時精算課税」贈与は、非課税枠の累計が2,500万円です。累計2,500万円ということは、110万円の22~23年分ですから、皆、累計2,500万円の方を選んでも良さそうですが、必ずしもそうはなりません。

まず、相続時精算課税の贈与は、誰でもできるわけではなく、対象者に制限があります。贈与者は60歳以上の両親・祖父母、受贈者は20歳以上の子・孫、ということです。年齢は、贈与をした年の1月1日における年齢で判断します。

また、そもそも基本的に「相続時精算課税」贈与は、「暦年課税」贈与と違い、相続税の節税には向きません。

もう一度、名称を振り返ってみましょう。「相続時精算課税」贈与はその名の通り、「相続時」に「精算」して「課税」されます。贈与をしたということは、その贈与財産は贈与をした人の財産ではなくなるため、その贈与者が亡くなった場合の相続税の対象財産には、本来ならない(直近3年内贈与を除く)のですが、この「相続時精算課税」による贈与の場合は、そうはいかないのです。

相続開始時に、相続時精算課税制度による生前贈与分と、そもそもの相続財産を合算して、相続税額を算出することになります。

相続時精算課税で孫が贈与を受けていた場合は、祖父母の一親等の血族や配偶者ではないため、相続税の2割加算の対象にもなります。

ちなみに、贈与税の非課税枠2,500万円を超えた場合に支払う20%相当の税額も、相続時に精算され、払い過ぎた分があれば還付されますので、ご安心ください。

そもそもこの相続時精算課税制度は、暦年課税の贈与とは制定された趣旨が違います。

日本が高齢化社会を迎えているというのは誰もが認識していることかと思いますが、財産も若い世代よりも年配の世代に集まりがちで、住宅費や子の教育費などでお金が必要な若い世代は、お金を使いたくても使えません。そんな状況の中で、年配の世代から若い世代へ、税金の心配なんかしないで積極的に財産を移してもらい、経済を活性化させたい、という意図で設けられた制度です。

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最終更新:2019/12/9(月) 13:00
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