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清水希容は国内7連覇を見ていない 視線は海の向こうの女王「今日の試合なら負け」

2019/12/9(月) 8:13配信

THE ANSWER

東京五輪金メダルへ、清水希容が見据えるのはスペインの世界女王

 東京五輪で新採用される空手の全日本選手権男女個人戦が8日、群馬・高崎市の高崎アリーナで行われ、女子形で2014、16年世界選手権連覇の清水希容(ミキハウス)が大会7連覇を達成した。仮想の敵を倒すことを目的とし、技の正確性や力強さ、表現力などで優劣を決める競技。東京五輪で金メダルを期待される26歳が、国内無敵の強さを見せつけたが、優勝後の言葉には悔しさが込められていた。

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 観客の視線を一身に集めた決勝。清水は吠えた。仮想の敵をなぎ倒し、道着の衣擦れの音を響かせる。コートを包む静寂は、演武が終われば一気に拍手に変わった。7連覇だ。

「正直、毎年毎年、必死に戦っている。今年一年、凄く苦しんだ年。もっと気を引き締めていかないといけない。今日の試合ならサンドラ選手に負けている」

 並ぶ言葉は、勝者とは思えない敗者の弁ばかり。視線の先には、海の向こうのライバルがいる。先週のプレミアリーグ(PL)マドリード大会の決勝で、サンドラ・サンチェス(スペイン)に敗れた。年間女王のタイトルを譲る悔しい結果に。3連覇を狙った18年世界選手権でも優勝を奪われた最大の敵だ。

 今年の対戦成績も負け越し。世界女王の冠を奪われて以降は、38歳のベテラン相手に苦戦している。空手が東京五輪で採用され、形の第一人者として引っ張り「サンドラ選手と競って技術も、メンタルも成長した。場数を踏んでいるなと実感している」と手応えはある。しかし、勝てていないのが現状だ。

 壁にぶつかるたびに繰り返すのが基礎。同じ基礎練習でも、微妙にやり方や意識の仕方を変え「同じ基礎じゃない。誰もまねができないレベルで基礎の力を上げたい」と徹底する。「まだ足りない」。動きの無駄を省き、簡潔に技を出すことに集中しているという。

得意形でも勝てない、追い求めるのは「僅差ではなく圧倒的な力」

 形は相手と直接対決せず、仮想の敵を倒すことが目的。世界空手連盟(WKF)の認定する形リスト(約100種類)から1つを選択し、1分半~4分の演武を行う。選択した形は一つの大会で一度ずつしか使えない。技の正確性、力強さ、表現力、スピード、リズム、バランス、極めなどを審判7人による採点方式で競う。

 今大会、決勝で演武した形は幼い頃から得意としてきたチャタンヤラクーサンクー。ほとんどの大会の決勝で使う最大の武器だが、サンチェスに及ばない時もある。「勝ち切れない。得意の形は自分の最高峰の形。自分が一番と思うものでサイドラ選手に負けか引き分け。実力が足りないと感じている」。危機感と胸に、研いできた刀をさらに磨いている状況だ。

 ポイントで争う東京五輪の代表入りは決定的で、次戦は1月のPLパリ大会を予定。「現状だと(東京五輪金メダルは)厳しい。もっと力をつけて強くなっていきたい。内容も差をつけないと。僅差ではなく、圧倒的な力でやれるようにやっていきたい」。国技の五輪金メダル第1号を奪うのは至上命令かもしれない。26歳はその重みを誰よりも理解し、背負っている。

THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada

最終更新:2019/12/9(月) 8:13
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