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「反浪費運動」を牽引する、フランスの新世代起業家たち。

2019/12/10(火) 11:03配信

フィガロジャポン

エコシステムを構築する。

過剰生産による浪費を減らすための解決策を探る、若き起業家が増えている。彼らが提案するのは循環型の新しい経済システムだ。

2020年のMETガラのテーマは、「ファッションと持続」。

フランス国民の出すゴミは豊かな金脈。だが、これは決してれうしいニュースではない。フランス環境エネルギー管理庁によると、国民ひとり当たり年間平均29キロの食料が捨てられている。しかもそのうち7キロは、包装されたままの状態で廃棄されているという。

新しい世代の起業家たちは、人々の習慣が変わるのを待つよりも、廃棄物の再資源化に積極的に取り組んでいる。そんな起業家たちのリーダー的存在が、リュシー・バシュ(Lucie Basch)。パリのエコール・サントラル出身の27歳のエンジニアだ。彼女がアプリ「Too Good To Go」を公開したのは2016年。売れ残りを安値で提供する食材店や飲食店と顧客を繋いでいる。顧客はおいしい食材を安値で入手でき、店は廃棄商品を出さずに済むというわけだ。「私たちの経済モデルはシンプルです」とリュシーは説明する。「利用者は選んだ商品の実際価格の3分の1を支払い、そこから私たちの取引手数料1.09ユーロを引いた残りの金額が、店側の売り上げ。廃棄されるはずだった商品を生かせることになり、みんなが得をする仕組みです」

なにより地球にとって有益だ。2016年以来、このアプリによって救われた料理は800万食に上り、現在フランス国内の店舗1万軒が登録されている。

しかしリュシーは、これでもまだ充分ではないという。「世界中で生産されているものの3分の1が廃棄物として処分されている現状ですから、できることはまだまだあるはず。私自身も、『Phenix』の反浪費アプリ『Anti-Gaspi』や、店頭に並ばない不揃いな果物や野菜で作ったジャムを販売するネットショップ『Re-Belle』を起業したコレット・ラップ(Colette Rapp)といった人たちに感化されました」

28歳のマラン・ミュリエ(Marin Mulliez)は、サイズや形が規格に合わないという理由で流通ルートからはじかれた果物や野菜を利用して、手作りジュースの「NoFilter」を立ち上げた。ESCPヨーロッパ・ビジネススクールを修了した彼が着手したのは、まさにエコシステムの構築にほかならない。「私たちのジュースによって、果物の生産者は規格外農作物を販売することができます。さらに一歩進んで、生産者をエコレスポンサブルな農業への移行に導いています。私たちの求めるプログラムに従ってもらうことで、農業の流通システムを根本から変えるべく努めているのです」。こうして生産された彼らの商品は2019年初めに発表され、現在、スーパーUやグランド・エピスリー・ドゥ・パリに置かれている。近々、そのほかの大規模小売店でも取り扱われる予定だという。

大量に廃棄されているのは野菜と果物だけではない。パンもそのひとつだ。アネリ・ヴィクトワール(Hanneli Victoire)は、以前からその状況が気になっていた。グラフィックデザインを学んだ21歳の彼女はこう語る。「2016年に、持続可能な発展をテーマにした市民団体を立ち上げました。会議の日には、家の近所のパン屋で毎晩売れ残ったパンを譲ってもらい、パンペルデュ(フレンチトースト)を作って持って行きました」。これが受けて、彼女の元に注文が入るようになった。2018年、ついに会社を設立。「Pain Perdu(パンペルデュ)」と命名した(Pain Perduはその後活動を停止)。乾燥して固くなったパンを砕いて粉にする方法を考案し、クッキーやサブレも作るようになった。顧客の評判は上々で、菓子類のネット販売も開始。「最初はビジネスなんて想像もしていませんでした。でも何もかもが猛スピードで進んでいって。ひとりで始めた会社に、いまは社員が8人います。現在は『Phenix』と提携して、1週間に2度、モノプリで売れ残ったパンを20~30kg、無料で入手できるようになりましたが、ほかの供給ルートも模索中です。それでも足りない状況ですので」

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最終更新:2019/12/10(火) 11:03
フィガロジャポン

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