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中古住宅活性化に必要な「価値再生」

2019/12/10(火) 12:21配信

Wedge

 日本の中古住宅市場には消費者と業界の間に情報の非対称性が存在する。消費者が中古市場にアクセスしやすい環境に改善するためには、物件情報が消費者に開かれる必要がある。

 同時に、中古の住宅としての価値の向上も重要だ。中古をリノベーションすることで再生させたり、社会問題となっている空き家に価値を見いだし、従来と違った住み方で活用させたりするサービスも生まれている。これらの両輪が回れば、市場はより活性化するだろう。

 中古の外装や内装を大きく改修し、見た目も中身も新たな付加価値を加えて再生するリノベーションに注目が集まる。新築販売が事業の柱であった住宅メーカーが、リノベーション事業の強化を始めている。

新築売り切りから大手も転換 活性化するリノベーション市場

 大和ハウスは、リノベーションや中古仲介などを手掛ける住宅ストック事業の18年度の売上高は1145億円だったが、21年度に1600億円まで拡大する目標を掲げる。

 同社担当者によると、「近年新築購入者が減少傾向にあり、中古を求める層が増えてきている。しかし地価高騰などもあり、中古物件も価格が上昇しているため、建て直すほどの年数がたっていない建物などについては、今住んでいる住居のリノベーションを行うケースが増えている」という。

 同社では、「住宅メーカーは新しく住宅を建てる会社」というイメージからの脱却も課題にあげる。同社の物件を新築で購入した顧客の多くが、リノベーションを検討する段階で、不動産会社や専門業者に相談しており、グループでもリノベーションを手掛けていることが認識されていなかったという。家を建てて終わりではなく、将来的なサービスまで一体的に提供する体制を構築するため、リフォーム事業や中古の仲介、買い取り再販など、グループ内に点在していた事業を統一ブランドの「リブネス」に集約した。マンションの一棟丸ごとリノベーションにも参入するなど、事業の強化に乗り出している。

 新たに住居を購入する際に、リノベーション済みの住居を購入するケースは増加している。そんななか、リノベーションする物件そのものを選ぶ段階からサポートし、どのようなリノベーションを行うか顧客とともに作り上げるサービスもある。リノベる(東京都渋谷区)は物件探しから、住宅ローンの選定、設計・施工、インテリアにいたるまでをサポートするワンストップ型のサービスを提供する。施工の実績は2800件を超え、この業態では売上高1位を誇る。

 同社では「顧客がどのような暮らしをしたいか」という観点に重点を置く。リノベーション済みの住居では、顧客にとって希望を叶(かな)えられないことも多い。物件選定から行うことで、顧客の嗜好(しこう)に合わせやすくなり、リノベーションの方向性、顧客の希望も反映しやすい。また住居購入とリノベーションでローンを一元的に組めるなどのメリットも生じる。

 顧客の望む暮らしを実現させることを重視する一方、将来の売却も想定し市場価値が担保されることも重要だという。同社ブランド戦略部の田形梓氏は「提案の際に顧客に確認するのは将来ビジョン。将来的に住み替えの可能性のある顧客に対しては、物件選びの時点で立地や管理状況などが売却の際に重要になることを伝え、リセールバリュー(再販価値)を意識した提案をしていく。先のことを早い段階から意識してもらうことで、かしこい選択ができ、多くの中古活用にもつながる」という。

 物件の購入を検討している顧客にとって、リノベーションのイメージがつかみにくく、心理的なハードルも高い。そこで同社では、各地にショールームを設けているのも特徴的だ。渋谷にあるショールームは、築54年のマンションの一室を活用。当時の写真や図面をもとに、部屋のレイアウトや配管が変更された部屋を見ることができる。「リノベーションで実際に何ができるのか、目で見て実感してもらうことで不安も解消される。新築と迷ってショールームに来場したが、何を大切にしたいかを整理するなかで、新築だけにこだわる必要はないと気づき、こちらを選択する人も多い」という。

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最終更新:2019/12/10(火) 12:21
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