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MLBで球宴選出5度の熱きリーダー! オリックス入りが決まったジョーンズの「トリセツ」

2019/12/10(火) 17:01配信

THE DIGEST

 メジャー通算282本塁打、オールスター選出5度のアダム・ジョーンズがオリックス入りに合意したとのニュースが飛び込んできた。すでに34歳、ここ2年は成績も低下傾向とすでに全盛期を過ぎた感は否めないが、これまで日本にやってきた助っ人の中でもかなりの大物であることに変わりはない。5つのキーワードからジョーンズの特徴を掘り下げてみよう。

●1「ミスター安定感」
 ジョーンズのキャリアを振り返ると、「安定感」という言葉が真っ先に浮かぶ。プレースタイルというよりは、年間成績が必ずと言っていいほど一定の範囲内に収まっているのだ。メジャーに定着した2009年からの11年間を振り返ると、打率は最も高い年で.287、最も低い年でも.260。2割8分台で終えた年が7回もある。大爆発もない代わりに大きく数字を落とす年もなく、11年からは7年連続25本塁打。この安定感を日本でも発揮できれば、オリックスにとって大きなプラスになるはずだ。

●2 ゴールドグラブ4度の守備には疑問符も!?
 通算282本塁打、シルバースラッガー賞2度の打撃だけでなく、守備の実績も光る。高校時代にバスケットボールやフットボールでも活躍した身体能力を生かし、センターで計4度(09年、12~14年)もゴールドグラブを獲得。しかし、実はセイバーメトリクス系のアナリストを中心にジョーンズの守備力に疑問符をつける声も多い。確かに新型守備指標のUZRを見ると、センターでの通算は-42.6。名手どころか、平均を大きく下回っている。

 具体的には、肩が強く、浅いフライの処理を得意にする一方で一歩目の反応がやや遅く、特に深い当たりを捕れずに長打にしてしまうことが多いと指摘されている。今季は主にライトを守っていたジョーンズ。オリックスでどこを守るかはまだ明らかになっていないが、守備にも大きな注目が集まることは間違いない。

●3 2017年WBCで見せた「伝説の名プレー」
 上で言及したように、ジョーンズは本当の意味での守備の名手とは呼べないかもしれない。しかし、彼は2017年のワールド・ベースボール・クラシックで伝説の名プレーを演じている。

 それまでの3回の大会で不本意な結果に終わっていたアメリカが優勝候補のドミニカ共和国と対戦した準々決勝でのことだった。アメリカが4対2とリードした7回、ジョーンズは当時オリオールズのチームメイトでもあったマニー・マチャドが放ったセンター右への大飛球をジャンプ一番好捕。ジョーンズが捕っていなければ間違いなくホームランの当たりだった。しかも、舞台となったペトコ・パークはジョーンズの地元サンディエゴ。超満員のファンは大歓声でジョーンズを称えた(捕られたマチャドがヘルメットを取ってジョーンズにリスペクトを示したことも印象深い)。

 この試合に勝ったアメリカはその後も準決勝で日本、決勝でプエルトリコを下し、4回目にして初の優勝。ジョーンズの美技は大会全体を通じて屈指の名シーンとしてファンの記憶に残ることとなった。

●4 正義感にあふれた熱い男
 ジョーンズは誇り高い男でもある。自らもアフリカン・アメリカンである彼は、人種差別や黒人の野球人口減少などの問題について、臆することなく自らの考えを語ってきた。NFLで人種差別に抗議して国歌斉唱中にヒザをつく選手が続出した頃には、MLBでそうしたムーブメントが見られないのは「野球が白人のスポーツだからさ」と言って物議を醸したことがあった。一昨年の6月には、ボストンのフェンウェイ・パークでジョーンズがファンから人種差別的な野次を浴びせられたことが話題になった。

「アスリートが政治問題に首を突っ込むな」という批判に対し、ジョーンズはこう言っている。「俺は俺の目で見た真実を語っているだけ。自分が信じることを堂々と主張するべきだ。反発を恐れて沈黙するのは良くない」。

●5 リーダーシップ発揮にも期待
 上のエピソードからも推察できるが、ジョーンズと同じチームで戦った仲間やコーチ、監督は口を揃えて彼のリーダーシップを称賛する。得意の物真似で試合前のクラブハウスを盛り上げたかと思えば、全力プレーを怠った若手には厳しく指導する。元オリオールズの監督バック・ショーウォルターによれば、素行に問題ありとされる選手でも、「ジョーンズがケアしてくれるから」という理由で獲得に踏み切ったケースが何度もあったという。

 13年に楽天の日本一に貢献したアンドリュー・ジョーンズがまさにそうだったように、プレー以外の部分でも「一流メジャーリーガーの流儀」をチームに植え付けることができれば、大きな財産になるに違いない。

文●久保田市郎(スラッガー編集長)

最終更新:2019/12/10(火) 17:02
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