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新たに浮上した中村哲医師を襲った「真犯人」

2019/12/10(火) 12:30配信

東洋経済オンライン

 アフガニスタンで、緑化事業などに取り組んでいた中村哲医師が殺害された。医療施設拡充や灌漑事業に尽力した「地域の英雄」(アフガンのガニ大統領)が犠牲となった痛ましい事件だ。

 9日までに2人が逮捕され、武装グループによる計画的事件ということは判明しているが、「犯人は誰で、なぜ犯行に至ったのか」という点は謎のままだ。当初はイスラム過激派によるテロの可能性が取り沙汰されたが、犯行声明もいまだ出ていない。浮上しているのが現地での「水利権」が悲劇を生んだとの見方だ。

■強い殺意がうかがえる犯行

 事件が起きたのは4日、パキスタンとの国境に近い東部ナンガルハル州の州都ジャララバードだ。

 複数の現地報道を総合すると、中村医師は現地時間4日午前8時ごろ宿舎を出発し、25キロほど離れた用水施設の工事現場に向かっていた。武装グループは自動小銃AK47(カラシニコフ)や拳銃で武装し、2台の車に分乗し、中村医師の車を追走。行く手を遮った後、一斉に銃撃を加えた。まず、ボディーガード4人を殺害し、その後、運転手と助手席の中村医師に発砲したもようだ。

 負傷した中村医師が起き上がったところに、武装グループはとどめを刺すように銃弾を浴びせかけ、現場から逃走した。中村医師の日々の通行ルートを把握していた計画性と、確実に命を奪おうとしたことから強い殺意がうかがえる。

 犯人像は絞り込めていないが、地元かその近郊出身者であることは確実視されている。武装グループはアフガンからパキスタンにかけて見られる民族衣装「シャルワール・カミーズ」を着ており、地元での主要言語の1つであるパシュトー語で会話していた。ナンガルハル州政府は全員が男で総勢5~7人程度との見方を示している。

 アメリカの同時多発テロを受けた2001年の米英軍のアフガン侵攻以来、アフガンの治安情勢が泥沼化しているのは周知の事実だ。テロや戦闘などによる民間人の死傷者は、2014年から5年連続で1万人を超えた。

 反政府勢力タリバンに加え、近年はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が競うようにテロ攻撃を行う。犯人として念頭に浮かぶのは、このどちらかだ。

 タリバンは事件当日、即座に「復興分野で活動するNGO(非政府組織)はイスラム首長国(タリバン)と良好な関係を持っている。それらは軍事的標的ではない」と犯行への関与を否定する声明を発表した。

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最終更新:2019/12/10(火) 12:30
東洋経済オンライン

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