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【ヒットの法則80】レクサスISはブランドのスポーツイメージを牽引する期待の星だった

2019/12/11(水) 6:31配信

Webモーターマガジン

318psのパワーを巧みにコントロールする

さて、走りに関するメカニズムにいこう。エンジンはクラウン譲りの2499ccガソリン直噴4GR-FSEと、GSと同じ3456ccD-4Sの2GR-FSEが搭載されている。組み合わされるのは全車ステアリングパドル付きの6速ATだ。
面白いのは2GR-FSEの出力がGSに搭載されているものとは異なる点で、何とさらにパワフルな318psとなっている。何が原因でこのような違いが出ているのかは現時点ではわからないものの、スポーツセダンとして上げられるものは少しでも上げるというスタンスなら恐れ入るばかりだ。

それにしても、いくらスポーツを標榜するとは言え、Dセグメントにいきなり300psオーバーの動力性能を与えてしまうのは大胆だ。数値だけを追うなら、これは欧州勢のスタンダードエンジンを越えてS4やM3、あるいはAMGといった高性能シリーズに迫るものである。

しかしもちろん、レクサスとしても野放図にハイパワーを与えたわけではない。2GR-FSE搭載のIS350は、ブレーキもフロント/334mm、リア310mmと、IS250に対し大幅に能力を向上させた。この効き味が実にシャープで、コントロール性、ペダルフィール共に良かったのは試乗で確認済みだ。

そしてさらに、VDIM(統合型走行安定システム)もIS350には標準装備となる。フィードフォワード制御により、車両が姿勢を乱し出す寸前から安定性制御を行うこの進んだメカがあるからこそ、318psという大パワーを躊躇なく設定できたのかも知れない。

ちなみにこのVDIMは電動パワステとの協調制御も行うが、VGRS(バリアブルギアレシオステアリング)を備えるGSとは異なり、アクティブにステアリングを切って姿勢制御をすることはない。ドライバーに安定方向のハンドル操作を知らせるトルクアシストを行うだけだ。

最後にISのグレード展開について説明しておこう。GSやSCは基本的にモノグレードなのだが、ISにはベースモデルを基本に、方向性の異なる2種類のパッケージが用意されている。

ひとつはバージョンL。これはいわゆる豪華仕様で、電動リアサンシェード、本木目のセンターコンソール&ドアアームレスト、セミアニリン本革シートといった、レクサスならではのアイテムが満載される。ちなみに最も高価なのがこの仕様だ。

もうひとつはバージョンSというスポーツ仕様。専用チューンのサスペンションを採用するほか、タイヤは17インチが標準に対して18インチ、ヌバック調表皮のスポーツシートとアルミペダルなどが装備される。

ただ、こうしたワイドバリエーション展開は、いかにも従来のトヨタ商法という感じがしてならない。まあ、欧州車にもこうした仕様設定はあるが、ISの場合は標準モデルがいきなり質素に感じるようなあからさまな差がある。たとえばステアリングのチルト&テレスコ調整が電動からマニュアルになったり、ドアミラーの防眩機能がなかったりといった具合だ。これってレクサスの「おもてなしの心」と、どう折り合いがついているのだろう。

さて、気になる価格だが、IS250の標準モデルが唯一390万円をつけるものの、後は事前の予想通りすべて400万円オーバー。IS350はベース仕様が480万円、バージョンSが495万円、バージョンLに至っては525万円という豪気さである。ちなみにこれはBMW325iと同じだ。価格面でも欧州勢と真っ向勝負はわかるが、だからこそ仕様設定は極力シンプルにすべきだ。「この装備が外れたからいくら安い」では、プレミアムも何もなくなってしまうだろう。(文:石川芳雄/Motor Magazine 2005年9月号より)

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最終更新:2019/12/11(水) 6:31
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