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ヴォイジャーよりも早く「太陽系の外」へ。新たな恒星間探査ミッションの実現に、NASAが動きだした

2019/12/11(水) 8:11配信

WIRED.jp

恒星間空間探査は、長らくSFのなかの話だった。多くの科学者は、その技術的難問に人類はまだ挑むことができないと考えている。だが、米航空宇宙局(NASA)の関与する研究グループが進めている研究は、そうした前提に異を唱えようとしている。

かつて「ヴォイジャー」が捉えた美しい姿

この研究グループは、既存の技術で構築できるミッションのヴィジョンを描いている。それどころか、そのミッションがNASAに採用されれば、早ければ2030年にも飛び立てるという。

「このミッションは、人類が明確な意図をもって恒星間空間に踏み出す最初の一歩です」と、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(APL)の物理学者で、恒星間探査研究に取り組むポントゥス・ブラントは言う。同研究所はNASAの太陽系物理学部門の要請を受け、「インターステラー・プローブ(恒星間探査)」の研究を18年夏にスタートさせた。

それから1年が経ったいま、研究グループは恒星間探査ミッションの核心となる技術の細部を徹底的に検証している。ブラントらのまとめた研究成果は21年末、全米科学・技術・医学の3学会からなる全米アカデミーズによる「太陽系物理学10年毎調査」に盛り込まれる予定だ。これは今後10年に及ぶ太陽関連ミッションの優先順位が決定される調査となる。

スイングバイの実施が鍵

恒星間ミッションの基本的な考え方は、重量1,700ポンド(約770kg)の探査機を21年までに準備が整うと見込まれているNASAの巨大ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」に載せて打ち上げるというものだ。この方法で打ち上げられた探査機は、ほかの探査機と同じように太陽系を移動したあと、さらなる推進力を得るために重力によるアシスト(スイングバイ)を用いて探査機に弾みをつけ、時速10万マイル(約16万km)を軽く超える速度まで加速する。

APLの研究グループは現在、2種類のスイングバイを検討している。木星を用いた最も“単純”なアシストと、太陽の重力を使う手法だ。

太陽を利用できれば都合がいい。というのも、木星を使う場合よりはるかに速い速度に到達できるからだ。しかしその場合、太陽にかなり接近する必要がある。先ごろ史上最も太陽に接近した人工物になった「パーカー・ソーラー・プローブ」より、太陽に数倍近いところを通過しなければならない。

そのためには、かなり厳重な熱シールドが必要になる。しかし、熱シールドが大きすぎると、探査機が太陽に近づくにつれてスピードが落ちてしまう。ブラントらの課題は、探査機をできる限りの速度で恒星間空間に送り出せるスイートスポットを見つけ出すことになるだろう。

APLの物理学者のラルフ・マクナットは、「いまや本当に実行できる展望をもっています」と語る。「これまでは実際の工学的な問題としては検討されていませんでした。考えることを先送りにして、『そうだな、もう少し新しい技術が必要だな』と言うだけだったのです」

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最終更新:2019/12/11(水) 8:11
WIRED.jp

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