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「植物が奏でる音楽」を聴けるデヴァイスは、わたしたちに自然との深い“つながり”をもたらすか

2019/12/11(水) 12:31配信

WIRED.jp

植物の葉に電極を取り付け、導電率の変動を音に変換して植物に“演奏”させるデヴァイスが注目されている。この不安の時代に生きるわたしたちは、植物によって発せられる美しい電子音楽に耳を傾けることで、自然との深いつながりを手に入れることができるのか。

植物がもつ“知性”との関係性とは?

かつてアーティストのジョー・パティトゥッチとアレックス・タイソンは、まるでジャングルのような量の熱帯植物をフィラデルフィア美術館に運び入れ、それらに“演奏”させた。2012年のことである。

詰めかけた聴衆は、植物オーケストラ「データ・ガーデン・カルテット」のステージデビューに耳を傾けた。リードシンセサイザーはフィロデンドロン。2本のシェフレラはそれぞれ、ベースとリズムトーンジェネレーターを担当した。アンビエンスとエフェクトの制御はサンスベリアに任された。

パティトゥッチとタイソンは、それぞれの植物に生体フィードバックを音響データに変換する小さなデヴァイスを装着していた。葉の上に取り付けたデヴァイスは、まるでミニチュアの聴診器のように葉の表面の導電率の変動をモニターする。このデータをプログラムに入力し、電子楽器演奏用のシグナルへと変換するのだ。

葉が光に照らされると、ピッチやリズムが変化する。データ・ガーデン・カルテットが演奏した即興の4曲は、まるで打ち寄せる波のようだ。電子音のハミングに、ひんやりとした環境音が重なる。

クラウドファンディング発のヒットに

この年にデータ・ガーデン・カルテットはツアーを実施し、植物園やフェスティヴァル、美術館の特設展で演奏を披露した。音楽は光の分散や窓から吹き込む風など空間に応じて変化したが、それだけではなかった。植物の電気的シグナルは、特定の人物が部屋に出入りした際にも、ときに劇的に変化したのである。

植物は、人間が感知できない領域のエネルギーに反応しているようだった。パティトゥッチはそれに畏敬の念を抱き、植物が奏でる音楽を多くの人々に届けたいと考えた。

それから3年後、パティトゥッチは実験音楽家のジョン・シャピロとタッグを組み、データ・ガーデン・カルテットのテクノロジーをさらに発展させることにした。こうして共同開発したデヴァイスが「MIDI Sprout」である。生体データを音波処理する機器で、2本の電極を植物の葉に取り付けて使用する。

このデヴァイスを電子楽器の制御に使い始めた一部のアーティストやミュージシャンの間で、MIDI Sproutはヒットした。14年に「Kickstarter」で始まったクラウドファンディングは、すぐに25,000ドル(約270万円)の目標額を突破。2年後にデヴァイスが発売され、17年にはiOSアプリも登場して、MIDI Sproutを直接iPhoneに接続できるようになった。

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最終更新:2019/12/11(水) 12:31
WIRED.jp

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