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税務調査の今後…納税者が「きわめて勝ちやすくなる」理由

2019/12/11(水) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

調査官の指摘事項に「後日回答」で対応するメリット

このような事情を踏まえると、調査官のノルマである調査件数を調査官が簡単に消化できないようにするために、従来以上に税務調査を長期化させるという方針が有効な税務調査対策となっています。とりわけ、最近は弱気の税務職員も多く、税理士や社長に気を遣い、電話も先延ばしにする調査官も散見されますので、簡単に長期化できるのも朗報です。

一方で、税法に詳しくない、調査官のいい加減な指導が散見されるのは従来と同様です。とりわけ、重加算税の対象になるかどうかの判断はとても適当です。重加算税対象となるミスを見つけるか否かで調査官に対する国税内部の評価は大きく変わりますので、調査官としては重加算税に該当するようにいい加減なこじつけをすることが多くあります。私の経験を申しますと、情報提供に係る契約書を後日作ったため、それだけで重加算税になると指導されました。

重加算税は課税要件事実(税額や所得金額に影響を与える事実)の隠ぺいや仮装がある場合に課税されるものであり、あらゆる隠ぺいや仮装に対して賦課されるものではありません。加えて、契約は口約束でも成立するとされていますから、後日契約書を作成したからと言って、それだけで仮装になるわけがありません。

重要なことは、情報提供の実態があるかどうかであり、それがないのに支払っていれば、課税要件事実の仮装に該当します。本来、この実態があるかの事実を確認するのが税務調査であり、このため「増差(過少申告となっている部分)は足で稼げ」などと言われていました。しかし、足を使うと税務調査が長引いて調査件数が増えないからか、必要な労力をかけない税務調査が増えている感があります。

とは言え、実際に調査官から何らかの指摘を受けると、それがいい加減なものであっても冷静に対応することができずに、右往左往する方もいらっしゃいます。このため、調査官から指摘事項があれば、その場で回答することなく、後日回答するという対応に心がけましょう。こうすれば冷静になれますし、税務調査を長期化させることもできます。

なお、一つ申し上げておきますが、問題点の指摘をした調査官も、実は確実なことを言っているわけではありません。「経理処理が誤っている可能性がある」くらいの適当な考えで指導していることがほとんどですので、話半分で聞いて問題ありません。


松嶋 洋

元国税調査官

税理士

松嶋 洋

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最終更新:2019/12/11(水) 8:00
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