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ドライアイ最大の原因は涙の油不足 脂質異常なら注意

2019/12/12(木) 7:47配信

NIKKEI STYLE

まぶたが重い、起床時に目がゴロゴロする、コンタクトを入れづらくなった。そんな人はまぶたの裏側にあり脂質を分泌するマイボーム腺の働きが低下した「マイボーム腺機能不全」かもしれない。近年明らかになってきた症状で、ドライアイの約9割を占めるという。食生活とも関係が深く、血液中の中性脂肪が基準より多いなどの脂質異常症の人では3倍も発症リスクが高いことがわかった。放置すると目の不快症状が強くなり、細菌感染しやすくなる。特徴的な症状や、新たに始まった点眼治療、有効なセルフケアを解説する。

■ほとんどのドライアイ患者は涙の油分が不足

目を乾燥や細菌感染などから守る涙は油層、水層、ムチン層の3層で形成されている。ムチン層は涙を角膜の表面にとどめて安定化させる。その上にある水層は角膜を乾燥から守り、感染防御の働きも担う。最も外側にあるのが油層で、まぶたの裏側のマイボーム腺から分泌された脂質でつくられ、涙の蒸発を抑えたり、潤滑液として角膜をまぶたの摩擦から守ったりしている。

「ドライアイの86%はマイボーム腺が機能低下することによって起こることがわかった」と話すのは、伊藤医院(さいたま市)副院長の有田玲子医師。米国の研究で、ドライアイ患者159人を対象に、涙の表面を覆う油の不足により涙液の蒸発が亢進(こうしん)した「油不足」か、涙液が減少した「水不足」かを調べた結果、ドライアイ患者の86%に油不足があったという[注1]。
「涙の水分が足りなくなっても油分が足りなくなってもドライアイ症状は起こる。油が涙のうち占める割合は1%とわずかだが、この油層がなくなったり質が低下したりすると涙は数秒で蒸発してしまい、目の不快症状が起こるようになる。油層の元になる脂質を分泌するマイボーム腺の出口に油が詰まって油が分泌されなくなることや、マイボーム腺自体が消失してしまうのがマイボーム腺機能不全という疾患。目の不快感や乾燥感が生じる」(有田医師)
[注1]Cornea. 2012 May;31(5):472-8.


マイボーム腺はまぶたの内側にあり、上まぶたに25~30本、下まぶたに20~25本存在する。出口はまつげの内側にあり、瞬きするたびに油が出て、涙の表面に行き渡り、涙の成分を安定化させる。この働きが低下する症状が「マイボーム腺機能不全」だ。
有田医師によると、「まぶたに炎症が起こる眼瞼炎(がんけんえん)という病名で知られてきたが、1980年に、涙の成分を補っても痛くてコンタクトレンズが入れられない患者にマイボーム腺異常があることを米国のコーブ博士らが発見、マイボーム腺機能不全と呼ばれるようになった」という。
とはいえ、当時は水分不足によるドライアイ治療に注目が集まっており、「たった1%の油の不足」の影響は過小評価されていたという。しかし、2008年に有田医師らが赤外線カメラによってマイボーム腺を観察する装置「マイボグラフィー」を開発。簡易で痛みのない診断が可能になったことから、世界的にもこの病気の認知度が高まり、国際的な診断基準ができたという。なお、この検査法を取り入れている全国の眼科医はLIME研究会のウェブサイトから確認できる()。

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最終更新:2019/12/12(木) 7:47
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