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激化する香港警察の暴力…デモ隊が見せた「ブルース・リーの精神」

2019/12/12(木) 11:48配信

PHP Online 衆知(Voice)

ジャーナリストの福島香織氏は、「香港の法治はすでに死んでいる」と断ずる。警察は市民に信用されておらず、警察の暴力は、一般市民や外国人にも無差別に振るわれる、無法状態にあるという。香港は再び法治と自由と民主を取り戻せるのか。

月刊誌『Voice』12月号では福島氏の現場取材により香港の厳しい現実が浮き彫りにされている。ここではその一節を紹介する。

※本稿は月刊誌『Voice』2019年12月号に掲載された「「大学戦争」の敗北とウイグル化の危機」より一部抜粋したものです。

勇武派デモ隊の変化

まず香港デモの状況について、その推移を整理したい。私はこれまで7月、9月、10月と三度、現場で取材した。そして訪れるたびに、想像を超える状況悪化に心震えたのだった。

もとは逃亡犯引渡し条例の改正による中国への犯罪人引渡しに反対するデモからスタートした。6月9日、100万人の大規模平和デモが整然と要求を掲げて行進していた。

民間人権陣線が呼びかけ人で、この組織は2003年から毎年7月1日に大規模デモを行なってきた経験があった。一方でデモ参加者のなかには、こうした平和的デモでは香港政府は譲歩しない、と主張する人たちもいた。

ある程度の暴力を容認するグループは勇武派と呼ばれ、政府庁舎や立法会(国会に相当)を包囲し圧力をかける行動に出た。香港警察は12日、これに対し警告なしで催涙弾やゴム弾、ビーンバッグ弾を発砲。これが、香港警察と勇武派デモ隊との泥沼のような戦いの始まりだった。

7月1日に勇武派デモ隊が立法会に突入。

この段階で、私は現地取材を始めたのだが、このとき、勇武派の参加者は「僕たちはある程度の破壊活動を行なうけれど、それは権力の象徴だけを対象にしている。立法会の建物は破壊したけれども、図書などの文化財は保護したし、泥棒じゃないから略奪行為をしなかった。独立宣言をしない、テロ活動をしない、市民を傷つけない、の三つの道徳線を守れば、それは暴徒ではなくてデモだと国際社会は支持してくれるだろう」と主張していた。

デモ隊が立法会に突入したときに中にいた立法会議員の鄭松泰(チェン・チュンタイ)氏に直接聞いたところによれば、立法会の中で、突入したものの急に怖くなって泣き出したデモ参加者もいたという。

だが9月中旬に再び香港を訪れたときは、勇武派の雰囲気はかなり変化していた。彼らは手製のプロテクターを身に着け、遺書を書いて“出陣“し、本当に命がけで戦うつもりでデモの最前線にきていた。

政府庁舎に火炎瓶を投げつけ、地下鉄設備を破壊し、親中派の店舗に対して落書きや破壊も行なっていた。警察は容赦なくゴム弾や催涙弾を打ち込み、暴徒鎮圧用の高圧放水車が放つ青いペッパー水を浴びせかけていた。

市民を傷つけない、という道徳線があったはずだが、親中派市民に対しては街中で乱闘、暴行を行なうこともあった。

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最終更新:2019/12/12(木) 12:14
PHP Online 衆知(Voice)

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