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U2とサンドウィッチマンの思わぬ共通点。来日公演直後の緊急振り返り対談!【西寺郷太のPop’n Soulを探して】

2019/12/12(木) 20:03配信

FINDERS

この連載でも過去3回にわたって取り上げてきたU2。今年12月4・5日になんと13年ぶりの来日公演を果たしましたが、あれだけ言及してきて観ないワケにはいかない!ということで、FINDERS編集長米田が NONA REEVES西寺郷太さんと一緒に観に行くことに。

男女平等を訴え、各国で活躍した女性を称える映像を流して話題になった「Ultraviolet」の演出、ライブ1日目にアフガニスタンで亡くなった医師の中村哲さんを追悼するメッセージが急遽追加された「Pride」など、ファン以外での間でもかなり話題となった公演でしたが、ファン歴30年超えのガチオタ米田と、プロのミュージシャンである郷太さんがライブをどのように観たか。ライブの興奮冷めやらぬうちに、緊急対談を実施しました!

で、ライブどうでした?

米田:最近、いろんなメディアでこの連載について触れてくださっているみたいですね。ありがとうございます!

西寺:他の連載でも書いたんですよ、FINDERS編集長の米田さんとU2観に行ったって。『BRUTUS』にも書いたし、この前アトロク(TBSラジオの「アフター6ジャンクション」)に出た時も連載第1回の「1973年生まれ同士がU2に会ったエピソード」の話をしましたし。ここでは何回も何回もしてる、1993年にU2と僕がばったり新宿駅のホームで出会ってた瞬間が当時の本に載っていたって話。あれ、ラジオの後、細かく思い出すと、米田さんが言ったというよりは、誰かがTwitterで見て言ったんでしたっけ?

米田:あれはシミケンさんっていう、これまたかなりのU2マニアがいて、彼がTwitterで書いていたんです。もちろん今回の来日公演にも来てました。

西寺:そっか、別のマニアの方でしたか、ごっちゃになってました。

米田:実は僕、来日公演だけじゃなくて11月30日のシンガポール公演と、8日にあったソウル公演も観てきたんですよ。

西寺:そうだそうだ。どうでした?

米田:ソウル公演のあった12月8日はジョン・レノンの命日だったんですよ。だからジョン・レノンを「Peace Maker」と讃えて「Pride」を捧げて、ジョンのカバー曲としても有名な「Stand by Me」をやっていました。カバーのカバーですね。

西寺:へぇ~。それで日本公演と同じように韓国人の女性達がスクリーンにバンバン出てくるんですか?

米田:ええ、「Ultraviolet(Light My Way)」はそういう演出だったじゃないですか。公演を行う国の偉大な女性たちをスクリーンに映し出して、「Baby Baby Baby Light My Way」と女性に進むべき道を照らしてくれっていうサビの曲です。

西寺:じゃあ、ソウル公演ではさいたまの時の日の丸と同じように、韓国の国旗がスクリーンに出たわけですね?

米田:はい、国旗は最後の「One」の時ですが、「Ultraviolet(Light My Way)」の時の演出は、韓国の女性の活動家とかアーティストが出てきたんじゃないかなと思います。ハングルだったんで内容は全然わかんなかったですけどね(苦笑)。

日本だと、紫式部や緒方貞子さん、草間彌生さん、川久保玲さん、オノ・ヨーコさんなんかが出て、ちゃんとローカライズした演出にしていましたね。今回の「The Joshua Tree Tour」は僕は2017年のバンクーバーの初日から観て、こないだのソウルで長い追っかけが終わって、結局5回観たんですよね。でも日本公演が一番良かったですよ!

西寺:おー!そうですか!

米田:初日も2日目もどっちもよかった! 初日はまず郷太さんと驚いたのが、開演の19時半ぴったりに始まったこと。

西寺:そうそう。さいたまスーパーアリーナは年に1回くらいしか行かないけど、ぴったりに始まったライブ初めてでしたね。マドンナなんて、同じ会場で開始が2時間遅延しましたからね(苦笑)。

米田:あれはなんでかというと、北米ラジオ局SiriusXMと協力し、U2ベースのラジオ局「U2X Radio」を2020年に立ち上げるというニュースの発表を、YouTubeで世界中に生放送してたからなんですよね。それでさすがにボノは遅れられないという。

西寺:次の日は?

米田:次の日は見事12分くらい遅刻していました(笑)。

西寺:でも12分でも全然ですけどね。ホールとかだと準備やもろもろでスタート絶対遅れますからね。

米田:けど、ボノの調子は郷太さんと見た初日が一番良かったですね。声が出てました。今まで何十回とライブを観てきましたが、一番ボノの声が出てたんじゃないかな。

西寺:ライブとしては2日目(5日)の方が安定してました?

米田:そうですね、2日目は2曲目を「I will follow」じゃなくて、セカンドアルバム『October』に入っている「Gloria」に変えたり、「Angel Of Harlem」を「Desire」に変えたり、あと「Every Breaking Wave」を「You’re The Best Thing About Me」に変えたりとか、ガラリと変えてきたんで、通なファンにとっては2日目の方が面白かったですね。郷太さん、率直なところ、感想はいかがでした?

西寺:僕は単純に、2019年の12月にあの「場」に立ち会えてよかったなって。自分一人だと行ってなかったんで、5年前の米田さんとの出会いからの、このFINDERSでの仕事の一環として行ったところも半分あるので。いろんな媒体で、ここ最近U2話盛り上げておいて観てなかったらねえ(笑)。

何より、1980年にデビューしたU2というバンドの重要性が日に日に増していると思いました。僕の人生が徳川幕府とすれば、いい意味での仕切り直しといいますか。「暴れん坊将軍」こと吉宗が登場して一回締めたみたいな位置付けになりそうなライブでした。あのタイミングで吉宗が登板しなかったら続かなかった的な(笑)。自分の、NONA REEVESとしての今後20年のバンド活動を考えた時、あれ以上の刺激はなかったです。

今「'90s ナインティーズ」って小説を書いてますけど、本当に92年から94年、大学生だった頃のサウンドトラックが『Achtung Baby』と『Zooropa』でしたから。

90年代当時、ワム!を解散してソロとして一人勝ちして、その後隠居生活のようになったジョージ・マイケルは別として、チャート上でU2のライバル的存在だった他のアーティストは過去の人になっていました。あれだけ勢いのあったカルチャー・クラブにしてもね。デュラン・デュランは、90年代初頭に「Ordinary World」で久々のヒットを手にしてはいたけれど、どんなバンドやグループもなかなか「80年代」のイメージを抜け出せなかった。その中でU2だけがいまだに世界の頂点に君臨するバンドとして生き続けていますよね。今回のライブは、確かに懐かしの『The Joshua Tree』再現ツアーではあるけれど、単に懐かしいだけじゃなくて映像やメッセージも含め、ちゃんと今の世相とビビットに対応しているバンドであって回顧のみではありません。その上で、全員健康でメンバーチェンジが無いというのは奇跡。さいたまスーパーアリーナでの2デイズが即完売ですからね。

ボノが今59歳。僕とたいして変わらないんですよね。僕も46歳ですから。新宿駅で会った時、あれだけキャリアと貫禄のあったボノもまだ33歳だったのか、とか思うと、今の自分との落差に悲しい気もしますけど(笑)。

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最終更新:2019/12/13(金) 10:21
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