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NZの噴火 なぜ悲劇を防げなかったのか

2019/12/12(木) 18:25配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

変化検知も警報に至らず。専門家に訊く、死者を出す規模の噴火予測の難しさ

 ニュージーランド北部のプレンティ湾に浮かぶ小さな火山島ホワイト島(マオリ名ファカアリ島)が、現地時間の12月9日午後2時11分に噴火した。爆音が鳴り響く中、噴煙は3600メートル以上の高さまで到達し、高温の噴石を降らせた。わずか数分の出来事で、その後は一帯に静寂が戻った。

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 当時、多数の旅行者がホワイト島を訪れており、火口のすぐそばにも人がいた。12日時点で、8人の死亡が公式に確認されており、8人が行方不明だ。「最悪のシナリオです」と、ニュージーランド、オークランド大学の火山学者兼地球科学者シェーン・クローニン氏は語る。

 噴火のタイプこそ取り立てて珍しいものではないが、前触れがなく不意打ちだった点は特徴的だ。ホワイト島のケースとよく似る噴火は、日常茶飯事とは言わないまでも世界各地で起きている。今回のように、はっきりとした兆候がない中での噴火は、いつ起きても不思議ではないのだ。

 米スミソニアン協会の全地球火山活動プログラム(GVP)の火山学者ジャニーン・クリップナー氏は「人々がまずいタイミングにまずい場所にいたケースです」と話す。「実際に起きると惨事になりますが、同様の出来事はこれからも繰り返されてしまうでしょう」

 なぜ今回の噴火は予測できず、死者が出る結果となったのか。事実を基に振り返ってみたい。

目に見えない前兆

 ホワイト島は海底火山の頂上にあたる。全地球火山活動プログラムによれば、極めて活発な火山で噴火の規模は中程度が多く、噴火のタイプは多岐にわたる。

 非常に活発なうえ、多くの旅行者が訪れるため、ホワイト島は厳重な監視下に置かれている。火山の爆発が近づいている兆候を突き止めようと、科学者たちが常に目を光らせてきた。

 ニュージーランドの政府系研究機関GNSサイエンスの科学者ジェフ・キルガー氏によれば、噴火の数週間前、局所的な地表の変形を突き止めていたという。地表の変形は、過熱した液体、気体、マグマの移動が原因で起きる、地下の圧力変化を示す場合がある。しかし、今回のケースでは、圧力の大幅な上昇は示唆していなかった。

 ただし、モニタリングと旅行会社からの報告によって、ガスの放出と地震を伴う間欠泉のような噴出も確認されていた。そのため、当局は火山の警戒レベルを1から2に引き上げた。警戒レベルの引き上げは、噴火が必ず起きることを意味するわけではなく、多くの場合、実際に噴火が起きることはない。今回は不運なことに、死者が出る噴火となってしまった。

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最終更新:2019/12/12(木) 18:25
ナショナル ジオグラフィック日本版

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