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地球を救う鍵は「惑星モニタリング」にある

2019/12/12(木) 12:15配信

WIRED.jp

SDGsにおける環境に対するターゲットでは、驚くことに指標の68%において達成度評価に必要なデータが揃っていない状態が報告されている。SDG2(飢餓をゼロに)、SDG6(安全な水とトイレを世界中に)、SDG11(住み続けられるまちづくりを)では特にデータ不足が深刻だ。地球規模の課題を解決するためには、可視化が第一歩となる。そのために必要なのは、地上ではなく「空からの眼」なのかもしれない──。

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「 多くの人は地図を眺めるとき、世界は静的だと思っている。実際は建物や道路の建設、人や船舶の移動、木の伐採、作物の収穫などによって世界は常に変化しているんだ。でもGoogleマップに表示されるのは数年前の写真だ。起きている変化を記録するためには、リアルタイムで写真を撮らなければいけないと思わない?」

そう語るのは、NASAを辞め、2010年に同僚2人とともに「Planet(当時の社名はCosmogia)」を立ち上げたCEOのウィル・マーシャルだ。Planetは約140基の小型人工衛星を軌道上に飛ばし、1日あたり120万枚の写真を撮影する。少なくとも1日1度は同じ場所を撮影し、全地球の常時モニタリングを行なう。資金調達額は3億5,000万ドルを超え、13年にはピーター・ティール率いる「Founders Fund」からも出資を受けた。

「見えないものを修復することはできない」というヴィジョンを掲げ、多くの政府、慈善団体、国連機関と協力し、気候変動、自然災害、人権侵害における「データギャップ」を埋めようとしている。

Planetが事業化の活路を見いだしたのは農業、政府機関、そして地図の分野だった。畑の様子を高度な赤外線スペクトル帯で監視し、農作物の収穫量改善を実現した。政府機関と協力し、国境警備や沿岸警備、洪水、火災、地震や台風などの災害対応に衛星画像データを活用する。現在は日本政府と協力し、日本海における沿岸警備や違法漁業の取り締まりも行なっている。地図の分野ではグーグルなどの企業と提携。地図情報を最新に保つためのデータを提供してきた。

また、古巣であるNASAと連携し気候変動の追跡のための変数の調査を行なうほか、「Bloomberg Philanthropies」とカリフォルニア州との3者で気候変動に立ち向かうための「Satellites for Climate Action」を19年9月に始めた。最初のプロジェクトは世界中の石炭火力発電所を追跡すること。その稼働状況や、スケジュール通りに廃止が行なわれているかをモニタリングする。

インド政府とグーグルが行なう機械学習を活用した洪水予測の取り組みでは、Planetは過去の洪水にまつわる衛星データを提供した。世界各地のNGOと協力し、ブラジルの森林伐採の調査や、違法漁業からのサンゴ礁保護にデータを活用している。

「 NASAでは本当に多くのことを学んだけれど、提供できる機能を増やし、製造コストを削減することで、これまでとはまったく異なる人工衛星がつくれると思ったんだ。NASAの場合は科学と宇宙探査がその目的だったけれど、地球環境や人道支援のためにデータを活用できるはずだってね」

KOTARO OKADA

最終更新:2019/12/12(木) 12:15
WIRED.jp

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