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南野拓実ら今、さならる進化を遂げるストーミングの申し子たち

2019/12/13(金) 12:29配信

footballista

10月2日のアンフィールドでクロップを渋面にさせ、そのドイツ人指揮官率いるリバプールと移籍交渉中であることが明かされた日本人MFのプレーが象徴的だ。ここでは結城康平氏が、現所属チームの戦術にこだわらず「ストーミング」に向く3選手をピックアップ、その注目すべき理由を解説する。

文 結城康平

南野拓実:レッドブル流で磨かれた狼の王

 獰猛な獣を想起させる闘志と結果への渇望は、スピードに乗ったプレーを得意とするテクニシャンを新たな領域に導こうとしている。10月2日のCLグループステージ第2節、ユルゲン・クロップの眼前でリバプールを翻弄したパフォーマンスは、彼の名を欧州に轟かせる起爆剤に過ぎない。2015年から2年連続でWEBサイト『IBWM』による恒例企画「期待の若手100人」に選出された若武者は、24歳となった今季、ついに覚醒の時を迎えている。

 日本代表でも前線の核として期待されるアタッカーの飛躍を助けたのが、“プレッシングマスター”の異名を取るマルコ・ローゼだ。2017年から2季ザルツブルクを率い、今季からボルシアMGの指揮官に就任したライプツィヒ出身の知将は、レッドブルグループが標榜する激しいプレッシングを南野に徹底して叩き込んだ。今季その後任を務めるアメリカ期待の若手監督、ジェシー・マーシュもボブ・ブラッドリー(元アメリカ代表監督、現ロサンゼルスFC監督)の愛弟子として知られ、中盤をコンパクトに保ちながら主導権を奪いにいくフットボールを好む。

 南野はもともとトップスピードでのドリブル突破を得意としていたが、近年成長著しいのはオフ・ザ・ボールのスキルだ。トランジションを連続するチームで求められる「スプリントを連続するスタミナと筋持久力」に加え、困難な局面においても味方の判断を助ける彼の「ボールを引き出す」スキルはチームのアクセントになっている。

 柔軟に周囲を使っていくプレーにも対応する南野の強みは、ボールを要求する際に「きっちりと止まる」ことが可能な点だ。密集地で相手のプレッシャーを浴びる中、動きながらボールを受けようとする選手にパスを合わせるのは簡単ではない。一方、南野はギャップを発見すると首を振って周囲の状況を把握しつつメリハリのある動きで停止し、足下にボールを要求する。非言語コミュニケーションとしてのボディランゲージのスキルは軽視されやすいが、南野は若い頃から海外でプレーすることでその重要性に気づいたのだろう。明白なハンドサインで足下のポイントに鋭いパスを引き出し、どんなパスでもコントロールするという確かな自信を感じさせる堂々たるプレーは、味方を安心させるに違いない。

 ボールを受ける時は静止していることが多いが、相手の中盤が狙っているワンタッチ目では積極的に方向を変えることで読みを外そうという意識が強い。CLリバプール戦でも、中盤セントラルでプレッシングを受けながらキレのあるターンで何度となく状況を打開した姿が印象的だった。中盤においては攻撃のスピードを落とさない意識も強く、果敢に前を向くようなタッチで仕掛けていく。

 56分に決めたゴールシーンは、相手の左SBアンドリュー・ロバートソンが内側に寄ったことで生じた大外のスペースを手で示しながら、スピードを変化させてペナルティエリアに走り込んだ。正確なボレーシュート自体も評価されるべきだが、それに繋がったフリーランこそが彼の武器である。速攻の局面で、味方の動きが脳内に描けていることもポイントだ。ザルツブルクの果敢な速攻に慣れていることで、必ずボールサイドを向いた「オープンな姿勢」で味方からのパスを待つことが可能になっている。

 次のプレーを予測する能力に優れ、縦パスを受ける体勢から、サイドからのボールを受ける向きに切り替えるスピードは別格だ。リバプール戦の30分には味方の状態に合わせてボールを引き出し、相手の右SBトレント・アレクサンダー・アーノルドとCBフィルジル・ファン・ダイクの間に生まれたスペースに侵入。CBジョー・ゴメスを前に誘い出したことで広がったエリアを冷静に狙った判断は見事で、名手ファン・ダイクも迷いながらの対応を強いられている。マンチェスター・シティのセルヒオ・アグエロも得意とする「準備のスキル」は、前線で起用された際も強みになるはずだ。

 結果に執着する強い意志に加え、確かなオフ・ザ・ボールの技術を習得したことで、南野はより味方に信頼されるアタッカーへと成長し、そして“狼の群れを率いる王”へとさらなる進化を遂げようとしている。

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最終更新:2019/12/13(金) 12:29
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