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名作の様式を受け継いだRPG「アウター・ワールド」には、単純さゆえの構造的な問題がある:ゲームレヴュー

2019/12/13(金) 12:44配信

WIRED.jp

“ブラック企業が支配する宇宙帝国”を舞台に繰り広げられるRPG「アウター・ワールド」には、テーマ設定からシナリオ、アートディレクションにいたるまで、ゲームが成功するうえで必要な要素が詰まっている。それなのに、なぜ“重労働”のように感じられてしまうのだろうか──。

ゲームが薄っぺらく感じられる理由とは?

ロールプレイングゲーム「アウター・ワールド」で最初に訪れた街には、墓地使用料を徴収する仕事をしている男が登場した。というのも、宇宙植民地であるこの街「エッジウォーター」では、墓はすべて宇宙植民地群を所有する企業の所有物なのだ。

この企業が、工場も食料も電気も所有している。さらには、法的な抜け穴があるのか、空気までも牛耳っている。だから墓地使用料を支払わないと、死んでも墓に埋葬してもらえない。伝染病の脅威が飢餓と同じくらい蔓延しているこの街では、かなり深刻な問題である。

そんなわけで、「アウター・ワールド」で初期に挑戦したクエストのひとつは、そこに暮らす人たちに手を貸し、人々がもっているリソースをどう最大限活用すればたまっている支払いを返せるのかを考え、そして死んでもその辺に放っておかれないようにすることだった。

名作のDNAを受け継いだ作品

オブシディアン・エンターテインメントによる最新作の舞台である広大な宇宙植民地群では、無法状態の資本主義が勢威をふるっている。どうやら「宇宙資本主義」は最悪なものだったようだ。

「アウター・ワールド」では、こんな経験ばかりさせられる。「ブラック企業が運営する宇宙帝国」という陰鬱なホラーが銀河を舞台に展開するので、悲劇と喜劇が入り混じった印象的な凄惨さが生まれている。広い宇宙を舞台にしたゲーム世界は美しく、色鮮やかで畏敬の念を起こさせるミステリアスな場所なのだが、とにかく心から気が滅入るのだ。

本作はそんなコントラストから、そして資本主義時代が急速に発展した19世紀の「金ぴか時代」ばりの非常に愚かな経済システムの重荷の下に生きる人たちの苦しみと決意から最高の瞬間を引き出している。ただし、できればこのゲーム世界でのプレイが、ここまで「労働」を要求されるものでなければもっとよかったのに、と思わざるをえない。

「アウター・ワールド」はその様式を、名作と名高い何本かのロールプレイングゲームから受け継いでいる。それもそのはず、オブシディアンが前回開発したRPGは、ベゼスタのゲーム「Fallout 3」の独創的な続編「Fallout: New Vegas」なのだ。

「Fallout 3」は、これまでにつくられたRPGのなかで最も深く、しっかりとしたテーマがあり、ストーリー的にも満足できるゲームとしていまも愛されている作品だ。オブシディアンはそれ以来ずっと、テーマやストーリー設計へのこだわりを受け継いできている。最近のオープンワールドRPGに多い万能型のスーパーヒーローではなく、ゲームの世界において特定の役割を担うという、昔ながらのロールプレイングのスタイルにこだわっているのだ。

「アウター・ワールド」でオブシディアンがRPGに戻ってきたという知らせは、スリリングな展開だった。まさに「わかっている」人たちの仕事が期待できる、と思えたのだ。

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最終更新:2019/12/13(金) 12:44
WIRED.jp

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