ここから本文です

時代に取り残される!? 「守備に徹する」CBの存在意義

2019/12/13(金) 21:12配信

footballista

そうなのだ、大半のセンターバックは今でもそういう選手なのである。「モダン」や「万能」とはほど遠い、昔風のでかくて強い男たち。

けれども、そのスマートではないが安全第一のプレーは監督に信頼され、無骨にファイトする姿勢はファンに愛される。そんな彼らの生きる道。リーガの事情を中心に、スペイン在住の本誌前編集長に綴ってもらった。

文 木村浩嗣

「万能」は夢であっても現実ではない

 最初に編集部から今回のCB特集のお話を聞いた時「最近のフットボリスタらしい特集だな」と思った。

 どんなCBが求められるのか? 誰が時代を先取りするCBになるのか? プレースタイルの変化でCBのプレーもどう変わるのか?

 学究的でトレンドキャッチーで先進的である。“最近のサッカーはこうなっていますよ”、“これからサッカーはこうなりますよ”、と教えてくれる。さらに言えば、提案型であり、“だからこうしましょうよ”と新しい道筋を示してくれたり、“だから一緒に考えませんか”と誘ってくれる。勉強になるし刺激になる。

 と、これはこれで素晴らしいのだが、一方であまりに一所懸命にやるとコンセプトの進化に現実が取り残されるかも、と危惧していた。理論は追求し過ぎることはないが、肉体には物理的な限界があるのだ。

 CBで言うと、マタイス・デ・リフトを理想的なCB像とすると、例えばブルーノ(ヘタフェ)の立場はどうなるのか? ということだ。速くて高くて強くてインテリジェンスに長けてリーダーシップがあり足下の技術がMF並みに高いCBが進化系だとすると、それについて行けないガラパゴス系のCBはどうなるのか?

 世界の超一流とされるCBにも必ず欠点がある。ほぼ万能のフィルジル・ファン・ダイクはスペースのないところでのパス出しはいま一つ。ジェラール・ピケは頭の回転スピードは速いが鈍足である。セルヒオ・ラモスは抜群の身体能力と運動神経を過信しポジショニングミスをする。足技が素晴らしいイニゴ・マルティネスは強さが足りず、エメリク・ラポルトは無理なパスを選択しボールロストをする。エセキエル・ガライは頑強である反面スピードが足りない……。

 こう挙げてみると、CBというのは弱点を指摘しやすいポジションではないか、とも思えてくる。FWやMFについてはそこまで指摘しやすくないというか、弱点が露呈し得ない役割が与えられればそれで生きる場がある。「速くて高くて強くてインテリジェンスに長けて……」なんて必要は必ずしもなく、ゴール感覚だのドリブルだのパスセンスだのの一芸が秀でていればやっていける。

 だが、CBはできれば万能である方が良い。それは最終的には相手FWとの1対1になり、味方ゴール前の中央という最も失点しやすい場所にポジショニングしており、おまけにサッカーが進化してボール出しなんてものもしなくてはならなくなったからである。守備の最終地点であり攻撃のスタート地点であるという大役には、求めても求め過ぎることはない――少なくともコンセプトとしては。しかし、肉体という檻に囚われている人間には「万能」は夢であっても現実であることは極めて少ない。

 実際リーガエスパニョーラのレギュラー、準レギュラークラスのCBを見回しても、90%以上が万能とはほど遠い、昔風のでかくて強いCBたちである。彼らはモダンでは全然ないが、一流のリーグのばりばりのプロであることには変わりない。誰もがポゼッションサッカーを目指せるわけではない。“ドーンと前に蹴っておけ”というCBが生きていけるプレースタイルを選択するチームの方がはるかに多い。

 “コンセプトは追い過ぎると現実離れする恐れがある”なんてことは現編集部のみんなは百も承知であろう。が、前編集長として老婆心ながら、ここでは“普通に凄い”CB像と、その具体例をリーガの選手を中心に紹介したい。

1/3ページ

最終更新:2019/12/13(金) 21:12
footballista

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事