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Amazon―マーケットプレイス「成功の裏」と「抱える闇」

2019/12/13(金) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

あなたは、アマゾンという企業をどのくらいご存じだろうか? 日本でのサービス開始当初「世界最大のオンライン書店」と称されていたアマゾンは、わずか20年弱で「GAFA」と呼ばれる4大IT企業の一角にまで発展した。その驚くべきビジネス戦略や如何に。アマゾンジャパン元経営会議メンバー・星健一氏の著書『amazonの絶対思考』(扶桑社)より一部を抜粋し、「内側から見たアマゾン」を解説する。

アマゾン「地球上で最大の品揃え」を実現しているワケ

本記事では、アマゾンが多くの顧客の生活になくてはならないサービスとなり得ている「強み」の1つ、品揃えを支える「マーケットプレイス」について、マーケットプレイスを統括する元事業本部長があげるいくつかのポイントをチェックしていきたい。

◆「マーケットプレイス」へのシフト

アマゾンジャパンの2018年のマーケットプレイス流通総額は9000億円を超えている※1。そして、各メディアなどの推計によると、アマゾン直販部隊の売上とマーケットプレイスの販売事業者による売上を含めた流通総額は、およそ2.4~2.7兆円程度である※2。
※1…2018年6月20日 アマゾンジャパン 中小企業インパクトレポート
※2…2019年5月16日 ECCLab2018年EC流通総額ランキング、2019年2月16日 ネットショップ担当者フォーラム
 

アマゾンジャパンの品揃えはおよそ数億点であるが、商品数のみの割合からするとほとんどはマーケットプレイスでの出品である。アマゾンが標榜(ひょうぼう)する「地球上で最大の品揃え」は、マーケットプレイスの成功と成長が支えている。とはいえ、アマゾンを利用する顧客が「アマゾンではなくマーケットプレイスから買っている」と意識することはあまりない。

マーケットプレイスに出品する多くの販売事業者が「FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)」と呼ばれる在庫配送代行サービスを利用している。顧客にしてみれば、アマゾンのサイトで購入した商品は、アマゾン直販品と同じ箱に入って同じ配送スピード、品質で、さらに配送料は無料で届けられる。

第三者が出品するマーケットプレイスのサービスを開始する当初、アマゾンにとっての懸念は、アマゾンの矜持(きょうじ)である配送品質や低価格の維持をコントロールできないという点にあった。でも、販売事業者がFBAを利用しやすくすることや、シングルディテールページによる販売者間の価格競争の明確化によって、マーケットプレイス全体のサービスレベルの向上を果たしている。現状で満足することなく、「基準」を引き上げることにより実現したことだ。

さらに、マーケットプレイスからアマゾンが得る収益は定額の出品料や、販売取引ごとにおおむね8~15%※3程度の手数料である。アマゾンが直接仕入れて販売する場合、たとえば10%の粗利を確保することが簡単ではない商品であったとして、マーケットプレイスなら価格設定をするのは販売事業者であり、アマゾンは販売事業者の利益率には関係なく手数料を得ることができるのである。

※3…Amazon出品サービス料金プラン

その価格設定であるが、アマゾン直販商品は競合他社と価格を合わせているので安価、要はコントロールできているが、販売事業者の商品の価格を法律上アマゾンがコントロールすることはできない。

販売事業者同士が競争し合って価格が適切になる自然最適化作用に加えて、販売事業者が出品管理をする「セラーセントラル」というシステムツールには競合他社の価格に合わせた販売推奨価格が出てくる。

もちろん、販売事業者がこの価格に合わせるかどうかの保証はないが、アマゾンはできる限りの施策でアマゾン全体、すなわちアマゾン直販だろうが、マーケットプレイスにおける出品者だろうが、顧客が価格や配送スピードに差を感じないように「基準」を引き上げる仕組みを作り上げている。

需要が高い重要商品はアマゾンが直販し、ロングテール商品はマーケットプレイスで拡充する。もちろん、マーケットプレイスでの商品についても、価格、配送、返品、カスタマーサービスなどはアマゾン品質をキープする。

このアマゾン直販とマーケットプレイスのハイブリッド方式を顧客に提供できるのが、アマゾンの大きな強みになっている。これが、たとえば楽天は100%マーケットプレイス同様の第三者による販売であり、逆に大手量販店などのEコマースサイトはほぼ100%が直販だ。

アマゾンは顧客の需要が高い商品は、直販部隊が仕入れ、在庫管理をし、適正価格を維持することで、顧客の大きな信頼を得る。その信頼がマーケットプレイスにも広がり、第三者である販売事業者が、直販だけではとてもカバーすることができない品数を出品することで、顧客に「品揃え」という利便性を提供し売り上げも上げている。顧客、販売事業者、アマゾンのWin-Win-Winな関係なのである。

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最終更新:2019/12/13(金) 10:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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