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「日本にいくらカネをもらってる!」ソウルの路上で『反日種族主義』著者が吊し上げられた【韓国現地レポート】

2019/12/14(土) 18:33配信

文春オンライン

 12月11日正午、ソウルの日本大使館前では水曜恒例の、慰安婦問題をめぐる日本糾弾集会が開かれた。元慰安婦を支援する「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連、旧挺対協)などが主催する集会で、数百人とみられる参加者の多くは中学、高校生、大学生ら未成年や若年世代だ。

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「皆さんと同じ年齢のころに、ハルモニ(おばあさん)たちは日本軍に連れて行かれて性奴隷にされました!」

 壇上から毎週繰り返される呼びかけに、いつも通り学生たちが真剣な表情で聞き入っている。ただ、今回の集会がいつもと違うのは、学生たちが集う場所からわずか数十メートル離れた路地に、別の人だかりができていたことだ。

「親日派!」「売国奴!」といった罵声が飛ぶ。人だかりの中心には「慰安婦像を撤去せよ。水曜集会を中止せよ」「歴史歪曲。反日助長」と書かれたプラカードを掲げた男性2人が立っていて、自分たちに罵声を浴びせる男を凝視している。 

 プラカードを持っていたのは、日韓でベストセラーとなっている『反日種族主義』の共同著者で「反日民族主義に反対する会」の代表を務める落星台(ナクソンデ)経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究委員らだ。

 実は李氏らは1週前の水曜日、12月4日にも、日本糾弾集会と同じ時間に約1時間、第1回となる抗議行動を行っていた。すぐ隣で叫ばれている「日本軍慰安婦は性奴隷だ」「日本政府は謝罪せよ」などのスローガンについて、「それは事実に反している」と静かに訴え続けたのだ。

 11日に李氏らの周りで行われた妨害活動は、4日の活動を韓国メディアが報じられたことを受けて、事前に入念に準備されたものだったのは明白だった。

「恥ずかしくないのか」「何という侮辱だ!」

 韓国人なら誰でも不愉快に感じるであろう「親日派!」「売国奴!」といった罵声だけでなく、現地で筆者が耳にしたのは、さらに激しい罵詈雑言だった。

「おまえ、日本からいくらカネをもらったんだ。恥ずかしくないのか」
「このガキ。ハルモニがまだ生きているというのに、何という侮辱だ!」

 このほかにも書ききれないほどの悪罵が、李氏に浴びせかけられた。この日、李氏は同志ら8人で抗議集会を開いていた。毎回、数百人を集める日本糾弾集会に比べ、規模では全くかなわない。しかも、李氏らの何倍もの市民が“逆抗議”のために集まって、李氏らを取り囲んでいる。

 李氏らは駆けつけた警察官に囲まれ、身体的危害を受けることはなかった。だが、李氏らの抗議集会は冒頭から、自らが糾弾される集会に一変していた。「吊し上げ集会」といった表現がピッタリだ。李氏らに圧力が加えられている光景は実に生々しく、異様な迫力があった。

 物々しく、緊張感に包まれた現場では、複数の現地ネットメディアがビデオカメラを回し、あたまから李氏らを非難するネット中継を執拗に続けていた。見る者の怒りや憎悪を焚きつけるような客観性のない「報道」とはかけ離れた中継だった。

 李氏らを追い詰めるメンバーの熱気はエスカレート。一触即発の危険な状態となったため、警察の勧めもあって、李氏らの集会は約20分で打ち切られた。現場を去る李氏の背中には「おまえ、逃げるのか!」との罵声が浴びせられていた。

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最終更新:1/2(木) 22:15
文春オンライン

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