ここから本文です

沢尻エリカ、ピエール瀧…違法薬物でクリエイティブ性はあがる? ドラッグ体験者の作家・石丸元章に聞く

2019/12/14(土) 15:55配信

週刊SPA!

芸能人はなぜクスリに手を伸ばす?

 タレント・田代まさし、女優・沢尻エリカ、ミュージシャン・ピエール瀧……有名人による違法薬物関連の逮捕が相次いだ。社会的立場がある彼らのこと、見つかった際のダメージの大きさは自分でも想像できていたはず。

 にもかかわらず、手を伸ばしたのはなぜなのか? これに関して単なる快楽目的ではなく、ドラッグ使用によってクリエイティブ性を高めようとしたのではないかという見方も一部にはある。“仕事とドラッグ”というテーマについて、作家・石丸元章氏が語る。

「ドラッグでの仕事効率アップという面でまず考えられるのは、車の運転ですよね。長距離バスの運転手が眠さを抑えて集中力を高めるため、覚醒剤に手を伸ばすケースは結構ある話。僕も新宿でタクシーに乗ったとき、ドライバーから『どこかで手に入りませんかね?』と相談されたことがありますし。

 ただし覚醒剤が運転に向いているかというと、そんなことはないと思う。少なくても自分が覚醒剤をやっていたときは運転しようなんて考えなかったし、覚醒剤でキマっている人が運転する車なんて怖くて乗れないです。これは覚醒剤だけでなく、危険ドラッグなど他の薬物でも同じこと。ドラッグを使っている時点で“常軌を逸した状態”にあるわけですから」

 工場のライン作業や経理計算などの単純作業に関しても、ドラッグ使用によって仕事効率は著しく低下するというのが石丸氏の考え。アルコールを摂取した状態で仕事メールを打つとミスしがちなように、やはり職場にクスリを持ち込むのはNGのようだ。

「試合の痛みを和らげるために大麻を使用するプロレスラーや格闘家もいるようですが、平和な気持ちになっちゃうから向いていませんね。逆に覚醒剤は戦闘的な気持ちになるものの、試合の組み立てなどが一切頭からブッ飛んでしまう。このようにスポーツとドラッグの相性は最悪です」

音楽、小説、演技はどうか?

 では、創造性が問われるジャンルではどうなのか? ミュージシャンがドラッグの力に頼って創作活動に勤しむのは、昔からよくある光景だ。

「ドラッグを使用することで、日常の感覚で作れないものが生み出せるのは事実です。文学に関していうと、執念にも似た異様な迫力が出てきますね。たとえば400字くらいでまとめられるような内容を、ネチネチと執拗に10000字くらいまで書き続けたりする。

 もはや文章自体が完全に狂っているんだけど、これを技術があるプロの書き手がやると、得体の知れない凄味が溢れてくるんですよ。これは統合失調症の人の文章にも同じ傾向がありますね。しかし、問題は読みやすさや整合性を無視していること。雑誌の記事になるような、一般性のある文章には決してなりません。

 ドラッグを使用しながら書いたというわけではないでしょうが例外もあります。才能がありながらも麻薬に溺れていく高校生を描いた、詩人ジム・キャロルの自伝的小説『マンハッタン少年日記』(『バスケットボール・ダイアリーズ』の名で映画化)、サイケデリックな文章表現が巧みな、トム・ウルフの『クール・クールLSD交感テスト』などはとても面白い作品ですけどね」

 演技に関してはどうか? たとえば『ヘルタースケルター』における沢尻エリカの演技は、ドラッグをキメていたからこそ説得力があったという意見もあるが。

「音楽や文章と違って、芝居にドラッグは明確に向いていない。というのも一度使用すると、キマった状態で長時間を過ごすわけじゃないですか。監督から『はい、カット!』と言われたら別の表情をしなくちゃいけないのに、切り替えができなくなっていると思うんです。

 だけど経験者だからこそ、ヤク中の役をやるときにリアリティを出せるという面は確実にあるでしょうね。とはいえ、ヤクザ映画に出演する役者がヤクザを経験する必要はない。綿密な取材と細かい演技指導があれば、ジャンキー特有の言動も忠実に再現できるのではないでしょうか」

 ドラッグが仕事に支障をきたすことは間違いない。だが、石丸氏の出世作『スピード』がドラッグ抜きでは成立しなかったことも事実だ。こうして危険な“蜜の味”を求めるクリエーターは後を絶たないのである。<取材・文/小野田衛>

日刊SPA!

最終更新:2019/12/14(土) 15:55
週刊SPA!

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事