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国際都市「トーキョー」が負う致命的な課題…解決策はないのか

2019/12/15(日) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

高度な都市運営技術を持ち、世界的に先進性を発揮する東京。しかし、国際的なアクセス面では他の国際都市に大きく後れを取っています。「国際空港の発着キャパシティに限界がある」という現状は、国際都市・東京の最大の弱点です。しかし、国際交通ネットワークの強化に成功すれば、東京の国際競争力のさらなるランクアップが期待できるのです。※本連載は、『新・東京進化論』(幻冬舎MC)の一部を抜粋したものです。

「環境先進都市」としてアピールし、国際社会を牽引

東京が世界トップ2のロンドン、ニューヨークに対抗し、アジアエリアで絶対的優位を保つには、東京の弱みを克服し、強さに変えなければなりません。前回まで( 「オリンピックレガシー」を活用して、東京は世界に勝てるか? )では、「経済」と「研究・開発」「文化・交流」と「居住」の観点から、東京の総合力を高めるための施策を見てきました。

筆者は、東京の総合力を高めるうえで、さらに「環境」分野の施策がきわめて重要だと考えています。

●環境

東京が「環境」分野で今回スコアを落としたのは、指標の一つを「ISO14001取得企業数」から「環境への取り組み」にシフトしたから。東京は、実はISO14001を取得している企業が多く、前年までスコアが高かったのです。ところが、このISO14001はやや時代遅れの環境基準になってしまったため、評価基準を差し替えた途端、スコアが極端に下がってしまいました。

新たな評価基準とは、国連の気候変動枠組条約事務局が運営しているポータルサイト「NAZCA」で取り上げられている、「環境への取り組み」の数。ポータルサイトでは、国や都市別に「産官学やNGOの環境への取り組み」を掲載していますが、その活動のすべてが掲載されているわけではありません。むしろ東京の場合、どこかの組織や団体がせっかく環境問題に取り組んでいても、その活動を世界にアピールする姿勢が弱いため、NAZCAにまで届いていない可能性があります。これからは、SNSなどあらゆるツールを活用して、環境への取り組みを堂々と積極的にアピールしていくべきではないでしょうか。

そうしたことを踏まえ、東京に求められるのは環境先進都市としての政策の実現でしょう。東京都はオリンピック・パラリンピックを開催する2020年と、その10年後の2030年を見据えて、「環境先進都市・東京」に向けてのさまざまな取り組みを始めています。例えば2020年までに、都が所有する施設のLED照明普及率100%と、レジ袋の無償配布ゼロを実現させ、2030年までに温室効果ガスを2000年比で30%削減、エネルギー消費量の2000年比38%削減、再生可能エネルギーによる電力利用割合30%、燃料電池自動車20万台&水素ステーション150カ所などの実現をめざすとしています。

そうしたなか、現実に効果を上げているのが、「グリーンビルディング施策」と呼ばれる、一連の環境対策です。

たとえば2010年、原油換算で年間1500キロリットル以上のエネルギーを消費する大規模事業所を対象に、世界初の都市型キャップ&トレード制度を導入しました。各事業所にCO2排出量の総量削減義務を課し、義務以上に削減した事業所は、目標に達しない事業所に削減分をトレードすることで利益を得ることができる制度です。この仕掛けにより、対象事業所は2016年までに総延床面積50万㎡以上を増加させながら、CO2排出量を基準排出量比で26%も削減しています。

東京都はほかにも、環境にやさしい施策を実施しています。例えば、ディベロッパーの大規模再開発でビルの建築許可を与えるとき、「容積率アップ」のボーナスを与える代わりに、なんらかのオプションを約束させること。敷地内に公園や遊歩道などの「公共空地」を設ければ+200%、森や林の緑地をつくれば+200%、歴史的建造物を設ければ+200%、といった具合に。

有名なのが、三菱地所が新丸ノ内ビルディング(新丸ビル)を建設するとき、容積率を上限の1300%から1760%まで認める代わりに、夜間・休日は無人となる丸の内界隈を終日活性化させると約束させたこと。その結果、新丸ビルには数々の有名レストランやブランドショップが入居することになり、平日も休日も昼夜を問わず、観光客や買い物客で賑わいを見せるようになりました。

また、2014年に竣工した大手町タワーでは、敷地面積の約3分の1に相当する約3600平方キロメートルの「大手町の森」が都心のど真ん中に出現することになったのです。ディベロッパーは、多くの容積率をもらうことで超高層ビルを建てることができ、多額の賃料・テナント料を稼ぐことができます。

東京都は、容積率のボーナスを付ける代わりに、人が暮らしやすく緑豊かな周辺環境を整備することができます。そして地域住民は、魅力的な商業施設と暮らしやすい環境を手に入れることができます。つまり、都心の再開発は「ディベロッパー」「東京都」「住民と利用者」がWin-Win-Winの関係で結ばれるのです。そして再開発が進むごとに、東京では、より人間らしい豊かな暮らしが実現できることにもなります。

東京一極集中が、大気汚染や水質汚染、すさまじい交通ラッシュ、ゴミ問題などの弊害を発生させていたのは、もはや昔の話。大気や水質の清浄化技術は飛躍的に向上し、都内の空気はきれいになり、隅田川にも多くの魚が戻ってきました。

鉄道路線の複々線化は東京圏で着実に進み、各路線の相互乗り入れも盛んになり、鉄道利便性も大きく向上しています。道路交通でも、首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、首都圏中央連絡自動車道のいわゆる「三環状線」の整備が進み、渋滞とCO2排出量は確実に減少。

ゴミ処理についても、ダイオキシンなどの有害物質を発生させない高性能焼却炉が誕生したおかげで、一旦埋めたゴミを掘り出し、改めて焼却することも検討されています。

以上のように、これだけ人口が集中しながら、環境面においてデメリットをほとんど発生させない東京都の運営方法は、他の国際都市にも大いに参考になるはず。今こそ東京は、環境におけるグローバル・リーダーシップを発揮すべきだと思いますが、読者の皆様はどうお考えでしょうか。

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最終更新:2019/12/15(日) 11:00
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