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ライバル企業間の駆け引き…「値下げ競争」がなくならない理由

2019/12/15(日) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

企業間の駆け引きでしばしば見られるのが「値下げ競争」です。企業が目指すのは顧客の独占による収益アップですが、ライバル同士で値下げ競争を繰り返し、疲弊してしまうケースも少なくありません。今回は、どのような理屈において値下げ競争が繰り広げられるのか考察します。塚崎公義教授の目からウロコの経済談義、連載第45回目です。

A社社長「値下げしてB社の客を奪うか、現状維持か…」

拙稿「 熾烈な値下げ合戦も…赤字会社が操業停止できない苦しい事情 」では、企業の固定費と変動費の関係等々から熾烈な値下げ競争が発生しかねないメカニズムについて記しました。今回は、ライバルとの駆け引きという観点から値下げ競争について考えてみましょう。

A社とB社がライバルとして客を奪い合っているとします。A社の社長は、値下げしてライバルから客を奪うべきか、値下げをせずに現状維持すべきか、以下のようにを考えているとします。

「B社が値下げをするかどうか、わからないが、我が社として値下げをすべきか否かを決めなくてはならない!」

  ↓

「とりあえず、B社が値下げをしないと仮定しよう。我が社も値下げをしなければ、小利益のままだ。我が社が値下げをすれば、B社から顧客を奪えるので、B社は大損となるだろうが、我が社は大利益となるだろう。そうであれば、我が社は値下げをすべきだろう」

  ↓

「次に、B社が値下げをすると仮定しよう。我が社が値下げをしなければ、B社に顧客を奪われてしまうので、B社は大利益だろうが、我が社は大損だ。我が社も値下げをすれば、顧客を奪われることはないが、値下げした分だけ収益が悪化するので、B社も我が社も小損を被ることになるだろう。そうであれば、我が社は大損より小損を選ぶべきだから、値下げすべきだろう」

  ↓

「Bが値下げをしてもしなくても、我が社の採るべき選択肢は値下げである。悩む必要はない、値下げをしよう!」

B会社も値下げを敢行し、A・B両社とも事態悪化!?

B社の社長も、まったく同じように考えて値下げをするでしょう。その結果、昨日までは両社ともに小利益を稼いでいたのに、今日は両社ともに小損を被ることになるわけです。

両社ともに正しい判断をして正しい行動をしたのに、両社とも事態が悪化してしまった、というわけですね。

上記をまとめたのが下の表です。これは、「ゲーム理論」における「囚人のジレンマ」という有名な話を、安売り競争のケースに応用したものです。

これは深刻な問題です。両社ともに正しい判断をしているわけですから、「値下げする」という判断を変更する理由が見当たりません。つまり、両社とも明日も値下げをし、明後日も値下げをし、永遠に値下げを続けて倒産してしまう、という可能性さえあるわけですから。

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最終更新:2019/12/24(火) 13:42
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