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ライバル企業間の駆け引き…「値下げ競争」がなくならない理由

2019/12/15(日) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

「カルテル」を結んでも、相手の行動は制御できない

打開策として思いつくのは、カルテルです。A社とB社が相談して「お互いに値下げはやめよう。そうすれば、両社ともに小利益を確保し続ける事ができるのだから」と決めればいいのですね。

場合によっては、お互いに値上げしよう、といった相談もなされるかもしれません。ほかにライバルがいなければ(寡占の状態ならば、と呼びます)、2社ともに値上げをすることで顧客が減らずに利益率が上がると期待できるからです。

しかし、これは容易なことではありません。まず、カルテルは独占禁止法に違反しますから、公正取引委員会に見つかると罰せられます。

それ以上に問題なのは、各社には「カルテルに違反するインセンティブ」があることでしょう。

A社の社長は考えます。「B社と、値下げしないと約束した。B社がそれを守るとする。我が社が約束を破って値下げをすれば、B社から顧客を奪うことができて、大儲けができるはずだ。それなら値下げすべきだ」と。

A社の社長は、さらに考えます。「もしもB社が約束を破って値下げをしたとしよう。我が社が約束を守って値下げせずにいると、顧客を奪われて大損してしまうが、我が社も約束を破って値下げすれば、小損で済む。それなら、値下げすべきだ」と。

結局、A社は値下げを選択し、B社もまったく同様に値下げを選択し、約束はまったく守られない、ということが容易に予想できるわけですね。

カルテルに違反した会社に対して制裁を加えることができるのであれば、違反する会社は出にくいかも知れませんが、私企業同士の契約に違反したからといって、制裁をするのは容易ではありません。

カルテル破りが法律違反なら罰金を科すこともできるでしょうが、法律に違反しているのはカルテルを守っているほうですから、それは無理です。さらには、裁判に訴えて「お前は約束を破ったから、損害賠償を請求する」ということもできませんから(笑)。

もっとも、手段がないわけではありません。「繰り返しゲームにおけるしっぺ返し戦略」というのがオーソドックスな手段でしょうが、筆者にとって目からウロコだったのは「家電量販店の最安値宣言がライバルに対する脅しだった」ということです。これについてはまた、次の機会に。

本稿は、以上です。


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塚崎 公義

久留米大学教授

塚崎 公義

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最終更新:2019/12/24(火) 13:42
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