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国数記述式見送りへ 揺らぐ大学入試改革、忘れられた「高大接続改革」の原点

2019/12/15(日) 8:10配信

オトナンサー

 2020年度から始まる大学入学共通テストを巡り、萩生田光一・文部科学相は近く、国語と数学に導入する予定だった記述式問題の出題見送りを発表します。これで11月の英語民間試験活用延期に続き、大学入試改革の目玉の2つを失うことになります。ただ、記述式問題の見送りは、もっと深刻な事態だといえるかもしれません。そもそも、入試改革は何のために行われるものだったのか、経緯を振り返っておきましょう。

「1点刻み」脱却の理念崩れる

 2014年12月の中央教育審議会答申は「大学入学希望者学力テスト」(当時の仮称)について(1)思考力・判断力・表現力等中心の評価(2)「(複数の教科・科目を横断する)合教科・科目型」「総合型」問題の出題(3)記述式の導入(4)年複数回実施(5)段階別表示による成績提供(6)CBT(コンピューター活用型テスト)方式の実施(7)英語民間試験の活用――を提言していました。

 その後、専門家による「高大接続システム改革会議」が設けられ、これら新テストの在り方も検討しました。その結果、(2)や(6)は新しい学習指導要領(2022年度の高校入学者から全面実施)に基づく2024年度以降に先送りするとともに、(4)については断念しました。

 注意したいのは、このとき、複数回実施を行わなくても「記述式問題や英語の他技能を評価する問題を導入することによって…教科の知識に偏重した1点刻みの評価の改革という点については大きく改善することとなる」としたことでした。

 このように、新テストの狙いは本来、「1点刻み」の入試からの脱却でした。中教審答申では「点数のみに依拠した選抜を行うことが『公平』である」という意識を改革し、「多様な力を、多様な方法で『公正』に評価し選抜するという意識」に変えるよう求めていました。今回、入試改革の目玉の2つが消えることで、そうした狙い自体が崩れることになります。

難易度調整の課題は残る

 英語民間試験と記述式問題の導入が見送られることで、実質的には「大学入試センター試験に戻った」と言われることがあります。しかし、先の中教審答申で示された改革メニューのうち(1)は消えていません。従来と出題方針を大きく変えたプレテスト(試行調査)も2017年度と2018年度に行われています。

 ただ、本番の問題作成に集中したいという理由から、2019年度のプレテストは行われていません。もともと、思考力・判断力・表現力を中心にすると、難易度が上がる傾向にあることが予想されていました。過去2回のプレテストで完全に難易度調整ができたとはいえず、あとは本番で勝負することになります。

 実は共通テスト以外にも、もっと重要な論点があります。各大学の個別入試改革です。センター試験は「知識・技能」が中心でしたが、共通テストでは「思考力・判断力・表現力」を中心に測ることにしました。その上で、個別入試では、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」も含め、受験生を多面的・総合的に評価して入学者を決めることとされました。

 しかし、実際には、共通テストの英語民間試験や記述式問題の扱いをどうするかに追われて、多面的・総合的評価について十分な検討が行われず、従来型の入試区分の延長線上で実施しようとする大学が多いようです。

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最終更新:2019/12/17(火) 12:27
オトナンサー

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