ここから本文です

大学入試のマークシート偏重に識者「将来の失業者量産」危惧

2019/12/16(月) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 文部科学省は2020年度(2021年実施)の大学入試から、新センター試験(大学入学共通テスト)の英語で民間試験を利用し、国語と数学で記述式問題を導入する予定だった。しかし、野党やメディアから批判が巻き起こり、結局、文科省は導入を見送った。

【写真】入試改革を主導したキーマンが語る

 この大学入試改革を構想し、陣頭指揮を執ってきたのが東京大と慶應大SFC(湘南藤沢キャンパス)の教授を務める鈴木寛氏である。鈴木氏は民主党政権下で文科副大臣、その後の自民党政権下で文科省参与、大臣補佐官を歴任した。その鈴木氏が、共通テストへの「記述式」導入批判に応える。

 * * *
──2021年から実施する共通テストに、記述式問題を導入しようとした理由からお伺いしたい。

鈴木氏:少し長い前置きを述べます。今の子供たちの多くは2100年まで生きるでしょう。AIが人間の知能を超えて社会に大変革がもたらされる「シンギュラリティ」が2040年頃にやって来るとされているので、彼らは人生の3分の2をシンギュラリティ後の時代に生きることになります。

 AIが大学入試を受験するプロジェクトが始まっていて、「東ロボ君」(国立情報学研究所を中心とするプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で開発中のAI)は、2021年度に東大入試を突破することを目標に開発が進められています。AIの東ロボ君は、記述式の東大二次試験では、善戦しつつもまだ合格圏に達していません。一方で、マークシート試験ならば満点はとれるわけです。つまり、マークシート試験で測っている能力は、いずれすべてAIで置き換えられるということです。マークシートで問える能力を磨くための学びとは、“失業者の養成”にほかなりません。

 マークシート試験というのは、「人から与えられた選択肢の中から、一つ一つ重箱の隅をつつくように間違いを探して、消去法で正解を選ぶ」という試験です。だから、マークシート試験の訓練をしていると、ミスや欠陥を見つけるのが速くなる。解答が1段ズレたら0点になるから正確さも求められる。これまでの工業社会では、マークシートで測れるような能力が必要とされていました。工場の生産ラインでは機械が製造をしても、製品の欠陥を見つけるのは人間の仕事だったのです。今まではそういった仕事が他にもたくさんありましたが、シンギュラリティの時代にはAIに取って代わられるのです。

1/6ページ

最終更新:2019/12/16(月) 17:16
NEWS ポストセブン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ