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六甲山で耐寒登山!有馬温泉の予約つき? 進学校・甲陽学院の変わる伝統行事

2019/12/18(水) 8:11配信

NIKKEI STYLE

《連載》進学校の素顔 甲陽学院中学・高校(下) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

勉強以外の面に注目して進学校の姿を描くこのシリーズ。甲陽学院中学校・高等学校(兵庫県西宮市)編の最後となる今回は冬の行事「耐寒登山」を取り上げる。長く受け継がれてきた行事のありようが映す「甲陽らしさ」や生徒たちの気風の変化について、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏がお送りする。

■六甲山は「学校の裏山」みたいなもの

甲陽の伝統行事の一つに「耐寒登山」がある。2月の真冬に高校生たちが六甲山を登る。夏に登山をしたり、秋に強歩大会を開催したりという学校はよくあるが、標高931メートルとはいえ、冬の登山である。

小説『浜風受くる日々に』(風見梢太郎著、新日本出版)は1964年から66年の甲陽が舞台で、この耐寒登山が重要な場面として描かれる。小便をしようとしてコースを外れた生徒が道に迷い、死すら意識する緊迫したシーンがある。

定かではないが、1960年前後に始まったとされている。かつては「耐寒訓練」と呼ばれていた。極寒期に身体を鍛えるため、1週間にわたって校庭を走り、その勢いで最終日に登山するのがお決まりだった。いまではその登山だけが受け継がれている。

高校が甲子園にあったときには、山の麓で集合し、そこからスタートした。1978年に高校が六甲山の麓に移転してからは、学校をスタートして、学校に戻るルートになった。1990年にルート変更。学校をスタートして有馬温泉へ抜け、現地解散となった。

学校としてもさぞかし気合を入れて取り組むのだろうと思いきや、自らも甲陽出身の今西昭校長は「いやあ、そんなに珍しいですか?」と笑う。距離にして十数キロ。朝9時にスタートして午後3時にはほぼ全員がゴールする。天気さえ良ければさほどつらい行事ではないらしい。教員が撮った写真を見せてもらうと、たしかに生徒たちは割と軽装で、みんな笑顔で余裕がある。やや拍子抜けではある。

「六甲山というのは、私たちにはとても身近な山なんです。ただ、毎日のように眺めている山でも、ちょっと上のほうまで登っていくと、真冬には一面の銀世界になっています。日常と非日常が隣り合っていることを感じるいい経験だとは思います」(今西校長、以下同)

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最終更新:2019/12/18(水) 8:38
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