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もし松任谷由実さんや中島みゆきさんが「理科系」だったら……吉野彰先生曰く「ノーベル賞を獲っていますよ」

2019/12/19(木) 12:09配信

中央公論

吉野 彰さん(旭化成株式会社名誉フェロー)インタビュー [聞き手]内田麻理香さん(東京大学教養学部特任講師)

●IT革命当時に似た絶好のチャンス
──先生が小学校の先生から薦められ、科学を志すきっかけになったという『ロウソクの科学』で著者のマイケル・ファラデーは、酸化、還元の話をずっとしていますが、先生が発明したリチウムイオン電池を含めて、電池の構造も同じですよね。

 光合成により生物が生まれて呼吸をして二酸化炭素を吐き出してきましたが、いまの大気は生物にとってものすごく住みにくいはずです。人間も二酸化炭素が増えて困っている……。おかしいね。植物にもう一回頑張ってもらわないと。本来のバイオマスというのはそういうものだった。

──先生の今回の受賞理由のひとつが脱炭素社会への貢献ですね。

 逆にいうと、それがなかったら受賞はなかったと思います。

──将来どうなるかわからないような時代に、光明をもたらす発明でした。自然全体、環境全体に影響を及ぼすような発明です。科学の成果が環境問題の解決にもつながるということを示してくださいました。

 ありがとうございます。いまの子供たちにとって環境問題という大きな課題は、実はチャンスだと思うんですよ。解決した人は“ヒーロー”ですから。こんな絶好のチャンス、めったにありません。
 いまは「あの頃」に似ています。IT革命がバーンといった一九九五年頃の状況と、その前夜となる一〇年間にそっくりです。今から世界が変わっていくぞという気配がありました。
 環境問題に対して道筋をつけるというか、何か大きなことを成し遂げたら、世界的に注目されると思いますよ。
 そういう絶好のチャンスに、どういう刺激を若者に与えてあげるか、ですね。

──できれば大人にも、刺激を与えていただけると嬉しいです。そうしたら、大人もまともに環境問題を考えるようになると思うのですが。

 環境問題は、子供の方が関心が高いですね。
 ともあれ、もっと本格的に取り組んでいかないと。環境問題の大切さに対しては誰も異論はないわけですが、議論するだけでは、どうにもならない面があります。実現する手段がないからワーワー騒いでいるわけ。決め手はやはり「技術」です。政治家ではなく技術者の手によって、すべての面で両立するような技術を生み出すことです。

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最終更新:2019/12/20(金) 10:29
中央公論

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