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「段階ジュニアの退職」で日本のエネルギー産業は危機に陥る?

2019/12/21(土) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

世界トップレベルの火力・原子力発電技術を持ちながらも、市場環境の悪化により今や崖っぷちとなった日本のエネルギー事業。エネルギー危機を乗り越え、次世代に向けたエネルギー問題に対処するために必要なものとは何でしょうか。本記事は、日本総合研究所が執筆した『エナジー・トリプル・トランスフォーメーション』(エネルギーフォーラム)より一部抜粋し、次世代の新しいエネルギーシステムについて考察します。

苦境に陥る日本の重電メーカー

東日本大震災以降、原子力発電の稼働低下を補うために天然ガス火力と石炭火力が大増設された。新たに市場参入した新電力が天然ガス火力で自己電源を確保したり、発電コストの低い石炭火力発電を増設してきたことが背景にある。発電市場は明らかに供給過剰状態にある。

さらに、環境アセスを回避するための11.25万kW未満の石炭火力の計画が多発すれば、石炭火力に対する国際的な批判が高まり、環境省が石炭火力発電に対する態度を硬化させたことで石炭火力の建設はハードルは上がっている。

その結果、火力発電メーカーは、国内で新設案件が先細りとなり、十分な事業規模が確保できない状況にある。火力発電市場の将来性がさらに不透明になれば、事業投資をする事業者はいなくなる。

原子力発電については国内の新設案件が見込めなければ、企業は安定した事業資源を保てなくなる。国内市場なしにエネルギーインフラ輸出だけで事業を維持することは難しい。2022年にドイツの脱原発が実現すると、原子力発電への風当たりは一層強くなろう。

風力発電の拡大に期待する重電メーカーもあるが、日本国内での導入量が365.3万kWと欧州と比較して微々たる規模にとどまるなかで注、中国勢やGEなどの海外風力発電メーカーと競争するのは、容易なことではない。

注:一般社団法人日本風力発電協会ニュースリリース(http://log.jwpa.jp/content/0000289646.html)

こうした市場環境が続けば、半導体や液晶のように、日の丸重電メーカーの統合が話題に上る可能性もある。三菱重工業と日立製作所が火力発電事業を統合した背景にも火力発電事業の先行きの厳しさがある。

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最終更新:2019/12/21(土) 8:00
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