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今から手術!? 落語家休業、感謝の復帰(立川談笑)

2019/12/23(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

このほど私自身が見舞われた病気の話をします。まるで予期してなかった緊急手術と、入院という強制的休業にまつわるあれこれを振り返ってみますね。いやあ、びっくりしました。病名は「大腸(S状結腸)穿孔(せんこう)」です。
穿孔とは穴が開くこと。ネットで見つけた論文によると、こんな病気だそうです。「大腸穿孔は糞便(ふんべん)性の腹膜炎から敗血症性ショックを容易に引き起こし、早期の手術や集中治療にもかかわらず救命できない症例もある」(日本消化器外科学会雑誌)。「死亡率も高い」なんて書いてありますから、とても怖い病気です。
これまで病気とは縁がなく、油断していました。現在、54歳。見えないところで経年劣化は進んでいるんだろうなとは思いつつも、軽い肥満とこれまた軽い高血圧程度だから「まだまだ心配ない」と高をくくっておりました。いけませんなあ。

■「ま、明日でいいか」は大間違い

ことの始まりは11月19日の昼すぎ。家でのんびりしていると、下腹部に張りを感じました。普通に言うと「屁(へ)が出ない」。あの感覚です。ブーなりスーなり出てくれりゃあすっきり楽になるのにと、さほど気にも留めずそのまま夕方になって赤坂の落語会に向かいました。柳家三三師匠との二人会です。協会は違えどほぼ同期の気安さで、「屁が出なくってねー」なんて楽屋で笑って話をしてました。落語を2席。
翌20日。夜中に38.8度の高熱が出たので、近所の内科クリニックを受診しました。この時期だからインフルエンザかもしれないと心配したのです。様々な検査の結果、インフルエンザは陰性。
劇症型の感染症を引き起こす溶連菌(溶血性レンサ球菌)も陰性で、下腹部痛も結石によるものではなさそうだ、と。残る問題は血液検査で、かなり異常な数値があってどこか炎症を起こしているらしい。結果、「大腸炎の可能性があります」というお見立てで、総合病院への紹介状を書いてくれました。
この時点でまだ午前中です。その足で総合病院に向かいたいところでしたが、調べてみるとちょうどそこの外来受付を締め切った直後だと分かりました。ダメ元で電話で問い合わせてみると「時間外ですが診察は致しますよ。どうぞお越しください」とのこと。ありがたい。それでも「内科の診察はできますが、消化器系の専門の先生は不在なのでまた明日来ていただくことになるかもしれません。どうしますか?」と。どうしますかと聞かれてもなあ。まあ、二度手間になるなら一度で済ませようか……と明朝あらためて受診することにしました。しかーし、この判断は大間違いでした!
さあ、ここからですよ話は。こっちは素人ですから。ほったらかしといても翌日まで余裕で軽度のままで済むのか、あるいは一分一秒を争う重篤な危険性をはらんでいるのか、皆目分かりません。専門家の知見からの「かもしれない」とか「念のため」でいいから、素人には知らせてほしいなあ。ぜひぜひ医療関係の方、そこんとこをひとつお願いします。
結果として私の場合は大腸穿孔だったので、この時点ですでに生命の危険があったということです。おっと、その病院の名誉のために付け加えておきますと、この翌日、手術だなんだという騒ぎの中でこの電話でのやり取りの話をしたところ、「まさか!」「どうして?」「ウチは絶対に断らないのに」と看護師の皆さん、血相を変えて顔を見合わせてました。だから、あれはたぶん何かの行き違い。電話でのこちらの説明が良くなかったのかなあとも思います。いい病院だもの。それでも、それでも(!)「念のため」をお願いします、本当に。
さて、総合病院での診察を明朝に先送りした私は、帰宅して「あー、屁が出ないってのはつらいもんだねえ」と市販の鎮痛剤を飲んでその夜も仕事に行きました。吉祥寺で弟子たちと毎月やっている「立川談笑一門会」です。その日のマクラでは江戸から明治にかけて活躍した落語中興の祖、今も大円朝とたたえられる三遊亭円朝を引き合いに「私は大円朝には及ばないけど、大腸炎にはなりました。あはは」なーんてほざいてました。あれが最後の高座になったかもしれないのに、のんきなもんです。

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最終更新:2019/12/23(月) 7:47
NIKKEI STYLE

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