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装いの手本 トヨタ社長「洗練」資生堂社長「清潔感」

2019/12/23(月) 18:10配信

NIKKEI STYLE

国際ボディランゲージ協会 安積陽子代表理事に聞く

 日本のビジネスパーソンは見た目と役職が一致しない――。米ニューヨークで良く聞かれるセリフだという。仕事に熱中するあまり、装いや振る舞いを置き忘れてしまった経営者は少なくない。しかしグローバル経済が深化している中、海外エグゼクティブと交渉するのに国際的に通用する身だしなみは不可欠だ。経営トップの誰から学ぶべきか。米国でインプレションコントロール(印象管理)のコンサルティング業務を手掛けた国際ボディランゲージ協会の安積陽子・代表理事に聞いた。

【写真はこちら】グローバル企業トップから学ぶ洗練された身だしなみ

■身だしなみが自然な形で洗練されてきた豊田トヨタ社長

――国際ビジネスを展開する際に、第一印象は重要です。参考とすべきは誰ですか。

「40~50代のビジネスパーソンに対してならば、筆頭にトヨタ自動車の豊田章男社長を挙げます。国際ビジネスの場では『洗練された見た目』も経営資源のひとつと思います。正直に言えば、以前の豊田氏は野暮ったく垢抜けない印象でした。2009年に社長就任した当初は、新車発表会などの場でもサイズ感を全く無視したジャケットで、手元はほぼ甲まで隠れていました。髪も長め。空調の加減で毛先が動いていました」

――かつては「仕事には作業着が一番」という考えで、ファッションにこだわらなかったようです。現在の髪形はどうでしょうか。

「きっちり短くまとめ、若々しさ、清潔感、シャープさを演出しています。特にサイドをそろえ、整髪料も使ってどんなダイナミックなプレゼンテーションをしても動きのない、完璧に近いスタイルです」

「男性の装いは女性のようにメイクしたりヘアカラーを明るくしたりできない分、ちょっとした髪のまとまり方、肌のつやで与える印象はガラリと変わってきます。2011年ころからのイメージチェンジは大変参考になります」

――豊田氏は10年2月に米国での大量リコール(回収・無償修理)を巡って米世論の激しい批判を浴び、議会公聴会で証言しています。ひとつの契機だったかもしれません。

「豊田氏は国内だけではなく、海外ユーザーや投資家の視点をこれまで以上に意識するようになり、身だしなみにも気を遣うようになったのでしょう。無理をして一気にイメージチェンジしたというより、色々なところを少しずつアップデートしながら、自然な形で洗練された経営者へと変身してきました。最初からファッションが完成された人では参考になりません」

「私は個人的に『トヨタレッド』『トヨタシルバー』と呼んでいるのですが、同社のロゴや車体の色などに合わせて、ネクタイやスーツの色を決めています。トヨタレッドの時はスーツをダークネイビーで合わせ、ブランドを意識し体現しています。トヨタシルバーの時には上質なメディアムグレーのスーツです」

「記者会見や新車発表会などで、プレゼンのステージの後ろに大スクリーンがあるのか、どういう車のサイドに立つのか。それによってグレー調にするのかネイビーかなど、細かく計算するブレーンがいるのでしょう。プレゼンの手法も昨年、今年とどんどんうまくなっています」

「強調したいメッセージを伝える場面では、腕の高さを顔の横にまで引き上げたり、体の横幅を超えた手の動きをしたりすることで、ダイナミックな印象を作り上げています。欧米人は日本人以上に口元から感情を読み取るため、視線と同じくらい口元の表現力が大切となるのですが、現在の豊田氏は口元も効果的に動かしながら豊かな表情を見せています」

――自分自身がイノベーションしていることは、株主に対しても若い社員にも強烈なメッセージになりますね。ただメガネだけは黒縁に決めてしまっている印象ですね。

「国内外で黒縁とメタルフレームを使い分けていますね。同じ黒縁に見えても微妙にサイドのデザインが違っています。ファッション性が強いもの、非常にクラシックなものとさまざまです。欧米人に言わせるとアジア人の顔は分からない、個性がないとしっかり脳裏に焼き付かないといいます。加えて豊田氏の素顔は穏やかな顔立ちです。黒縁メガネを顔の中央に置いて、ひとつのアイコンとして使っています」

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最終更新:2019/12/23(月) 18:10
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