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「エピペン」に代わる錠剤投与で食物アレルギー患者を注射器から解放

2019/12/25(水) 21:09配信

ニューズウィーク日本版

怖いアナフィラキシー・ショックを速攻で治療

現在、食物アレルギーに苦しんでいる人々は世界で推定2億4000万人に上る。患者はアナフィラキシー(短時間で全身に出る重いアレルギー反応)が起きた場合に備えて、注射器を肌身離さず持ち歩かなければならない。

アナフィラキシーの有効な治療薬はエピネフリンのみ。一刻も早い応急処置が必要だが、現状では「エピペン」と呼ばれる注射器での自己注射以外に方法がなく、子供や注射針が怖い患者にとって障害になっている。そこで薬学者のムタセム・ラワスカラジは「エピペン」に代わる画期的な方法を考案した。エピネフリンの錠剤を投与するのだ。

新たに開発された錠剤は舌下投与で素早く吸収され、従来の注射器タイプよりも長期間常温保存ができる。おかげで迅速な治療がしやすくなり、多くの患者の命を救えそうだ。

開発したラワスカラジに本誌ノア・ミラーが話を聞いた。

――エピネフリンの錠剤は革新的なものか。

そのとおり。アナフィラキシー治療を変えるだろう。

――解決すべき問題とは?

エピネフリンを注射するのを不安に思う患者もいる。再注射の必要がある場合はなおさらだ。一部の患者は常に注射器を携帯しなければならない。注射器はかさばるし、薬液は熱に弱い。自己注射には問題が多い。

――エピネフリン注射が必要な患者は、子供がほとんどか。

患者の年齢層はさまざまだが、子供のほうが厄介だ。そもそも注射自体を怖がり、アレルギー反応が起きている最中はなおさらだ。

――エピネフリンの錠剤に期待することは?

患者が気楽に、使用期限切れや暑い屋外に長時間放置するのを心配せずに、携帯できるようにしたい。アナフィラキシーの治療法、すなわちエピネフリンの投与方法が一変するだろう。

錠剤ならストレスが大幅に減る。アナフィラキシーの子供を持つ親はストレスと不安を抱えている。わが子が学校やキャンプや外泊先で無事かどうか、毎日気をもんでいる。食べるものを逐一チェックしなくてはならず、普通の子供と違ってチョコレートバーやスナック菓子を差し出されても飛び付けない子もいる。患者が注射器の心配ばかりしないで、もっと普通に暮らせるよう手助けしたい。

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最終更新:2019/12/25(水) 21:09
ニューズウィーク日本版

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