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厚労省研究で判明「やせるとガンの確率が3割上がる」

2019/12/28(土) 9:01配信

現代ビジネス

日本人は特に危ない

 「やせたほうが健康に良いだろうと思っている人は多いでしょうが、厚労省研究班の研究によれば、やせ型の男性は、平均的な体重の男性に比べ、がんの発生率が高くなっています」

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 国立がんセンター研究所(当時)がん予防研究部第一予防研究室室長として、がん予防のメカニズムを研究し、現在は銀座東京クリニック院長を務める福田一典氏が明かす。

 食事の内容が、がんの発生率に影響を及ぼすことは、もはや常識となっているが、これまでは「肥満」こそが、がんを発症しやすくする諸悪の根源だと考えられていた。だが、その考えは徐々に形を変えつつある。

 BMIが19未満のやせている人と、BMIが30以上の肥満体型の人を比較すると、意外な事実が明らかになる。

 たしかに肥満の人は、平均体重の人より2割ほどがんになりやすい。しかし、冒頭の厚労省研究班の調査で、やせ型の人は、平均体重の人より約3割もがんになりやすいと明らかになった。つまり、太っている人よりやせている人のほうが、がんになりやすいのである。

 前出の福田氏が続ける。

 「過剰な肥満が乳がん、大腸がん、膵臓がんなどの発生率を高めることは確かです。しかし、たとえばアメリカではBMIが30以上の人が、人口の約3割を占めるのに対して、日本ではわずか2~3%ほどしかいません。日本人はむしろ、やせすぎによる発がんリスクのほうを深刻に捉えるべきでしょう」

 日本の医療は、欧米をモデルに発展してきた経緯がある。そのため、これまで肥満によるがんのリスクばかりが注目されて、やせることの危険性には光が当たってこなかったのだ。

胃がんになりやすい

 ではなぜ、やせるとがんになりやすいのだろうか。福田氏はその一因を、「やせることで、免疫力が落ちることにある」と推測する。

 「がんは細胞の突然変異から生じますが、免疫力が正常に機能していれば、がんは増大することなく抑えられ、消失する。それゆえ、やせて免疫力が低下すると、がんになりやすくなるのではないかと考えられます。

 免疫力が低下するとがんになりやすいということは、様々な実験や臨床から明らかになっています。たとえば、臓器移植を行った後には拒絶反応を防ぐために、自らの免疫力を抑える薬を使いますが、この薬を使用した人は後々、がんになることが多い。

 人間の免疫力を、馬鹿にはできません。挫折や強い悲しみを経験すると、免疫力が落ちます。その1~2年後にがんを発症する方は、大勢いらっしゃいます。配偶者が亡くなった数年後に、がんを発症する『後追いがん』という言葉もあるぐらいです」

 秋津医院院長の秋津壽男氏はこう語る。

 「実際に患者さんを診ていても、やせている男性はがん、特に胃がんをはじめとする消化器系のがんを発症する人が多い印象を受けます。

 やせている人は、胃弱や胃炎を抱えていることが多いので、胃炎で胃がんになりやすいのではないかと考えられます」

 厚労省は、65歳以上でBMIが20以下のやせ型=低栄養傾向にある人は、2023年には22・2%になると推計している。つまり、日本の高齢者の4~5人に1人は、栄養が十分に足りていない。

 「長生きする人は70歳ぐらいで、自然とやせる傾向があります。人は空腹や出産などに備える必要がなくなると、余計なものを落としていく。そのため、自然と食が細くなり、消化・吸収能力も衰えていきます。

 自然の過程として体重が落ちていくので、ちょっとぐらい小太りでも、自分で無理にやせようとする必要はありません。特に、1ヵ月に1kg以上落とすようなダイエットはお勧めできません」(秋津氏)

 「肥満はがんのリスクを高めます」という言葉は誤りではないが、そこで言われている「肥満」の基準に当てはまる日本の高齢者はそう多くない。むしろ、「やせたほうががんになる」ということを肝に銘じたほうが、健康に長生きできる。

 『週刊現代』2019年12月7・14日号より

週刊現代

最終更新:2019/12/28(土) 9:01
現代ビジネス

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